連邦裁判所はトランプ政権の75カ国に対するビザ発給停止を却下

トランプ政権は移民政策の一環として、75カ国からの人々にビザ発給を停止する大統領を発令し、その措置は停止されていましたが、8月22日にニューヨークの連邦判事は、その措置の再開を命じる決定を下しました。トランプ政権はビザ発給を受ける人々を米国福祉プログラムに依存する可能性が高いと判断し、今年1月からビザ発給業務を停止していました。これは合法的移民さえ制限する措置の一つですが、裁判所は世界各地に影響を及ぼすその政策に歯止めをかけることになる判断を下しました。

ドナルド・トランプ大統領の主要な政策は、合法性に関係なく、移民を大幅に削減することが第一期目からの重要な柱です。対象となった75カ国の中で、主な国はロシア、ベラルーシ、アフガニスタン、パキスタン、イラン、イラク、シリア、カンボジア、タイランド、ミャンマー、ラオス、アルジェリア、リビア、スーダン、エジプト、エチオピア、コンゴ民主共和国、タンザニア連合共和国、モロッコ、イエメン、ナイジェリア、ソマリア、ブラジル、コロンビアなどが含まれています。トランプ政権のこの政策は、これらの国の人々が「公的扶助の受給者(生活の基本ニーズを公的扶助に頼る)」事になると判断した為のようです。

ジョー・バイデン大統領によって任命された連邦地方裁判所のジャネット・バルガス判事は、ビザ発給業務を停止する措置は、ビザ発給の適格性を判断する領事官の「議会から付与された専権的な権限を直接的に侵害するものである」と判定しました。つまり、権限は議会が指定した領事官にあるということです。トランプ政権の方針は、ビザ発給の判断において領事官を主要な任務に据えるという議会の要件を損なうものでもあるとし、「連邦議会は、法律に定められた具体的かつ詳細な基準に基づき、ある移民がビザ発給の要件を満たしているかどうかを判断する専属的な権限と裁量を、これらの領事官に付与している」と判事は記述しました。判事は「申請者の国籍を理由に移民ビザの発給を一律に禁止するこの方針は、こうした法制度の枠組みを真っ向から否定するものである」と判定しました。

ワシントン・ポストの報告によると、バルガス判事は「所得や経済状況にかかわらず、当該75カ国の全国民を対象としたこの国籍に基づくビザ発給停止措置は、連邦移民法における差別禁止規定を無視している」と指摘しました。バルガス判事の判定は、2つの非営利団体に加えて、11人の個人(ビザ発給停止措置により家族のビザ申請が却下された6人と就労目的での渡米を申請していた5人)による訴訟に対するものです。訴訟を起こした団体の一つであるAfrican Communities Together(アフリカン・コミュニティーズ・ツゥギャザー)のアマハ・カッサ事務局長は、確固たる証拠や根拠を欠く政策に対する今回の判決を歓迎し、「ビザを発給するかどうかの判断は、個人に対してなされるべきものです。特定の国に対するステレオタイプやプロファイリング(特定の集団および個人の能力を評価または行動的特性を分析すること)に基づくべきではありません」と述べました。一方、国務省の報道官は係争中の訴訟についてはコメントを控えたものの、声明の中で、トランプ政権は「ビザ申請者に対する最高水準の審査と身元確認を行うことで、米国国民を保護している」と主張しました。

要するに、トランプ氏の75カ国に対する方針は、ブランケット措置と呼ばれ、対象となった国の人々全体に適用されました。この政策に対する疑問は、これらの国の人々がなぜビザ受給をほぼ包括的に停止されたかということです。この政策に対する措置で対象となるべきなのは、国ではなく個人的に問題のある人、例えば、テロリストに関与しているとか、犯罪歴があるとか、深刻な入国違反があるなど、そのような特定の人々のみに言及されるべきです。単にこれら75カ国からの全て人々にビザを発給しないとする方針は、これらの外国人が、経済的に依存する可能性があること、つまり、外国人が米国の福祉支援プログラムを利用することを防ぐためであることを示唆しています。別な言い方をすれば、豊かな国からではない人々を歓迎しないということのようです。最高水準の審査と身元確認を実施したのであれば、なおさら、身元調査の時点で問題のあるそれらの個人の入国を禁止することが可能なはずです。従って、連邦地方裁判所のジャネット・バルガス判事は、国を基準にしたビザ発行停止によるトランプ氏のこの政策は連邦移民法に違反していると判定しました。トランプ政権は最終的に米国最高裁に上訴する可能性があります。しかし、トランプ氏は、2017年1月、7カ国(イラン、北朝鮮、シリア、イエメン、リビア、ソマリア、ベネズエラ)からの人々に対する入国を禁止する大統領令に署名しましたが、連邦裁判所によって全国的な差し止め命令を受けました。2018年6月、米国最高裁は、トランプ政権による入国制限措置の修正版を支持し、「移民国籍法」に基づき大統領は権限の範囲内であると判定しました。75カ国からの全て人々にビザを発給しない措置に対して、最高裁がどのように判定するか興味深いものがあります。

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