連邦判事は2回目の生誕市民権に関する大統領令を打破

デボラ・ボードマン判事 Photo credit : Hindustan Times

連邦判事は、生誕市民権における特定のケースに対するトランプ大統領の2回目の大統領令を却下し、米国最高裁の最初の大統領令に対する判決を覆すことはできないと判定しました。連邦判事の9月2日の判定は何を示唆しているでしょうか?

米国最高裁が生誕市民権に関するトランプ氏の最初の大統領令を違憲であると判定した後、8月6日に発行された2回目の大統領令は主に、観光旅行によって米国で誕生した子供を米国市民として認めないとするものです。大統領令はバース・ツーリズム(出産目的の渡航)を阻止するためのものであるとしており、この大統領令の業務を遂行するよう、国務長官および国土安全保障長官に委任しています。

米国最高裁は、2026年7月30日、トランプ対バーバラ(Trump v. Barbara )の判定において、6対3の投票で、米国市民ではない両親から生まれた人々の生誕市民権を無効にする2025年1月20日の就任初日に発行されたトランプ氏の大統領令は憲法修正第14条に違反すると判定しました。8月に発行された2回目の生誕市民権は、将来生まれる子供を含めて、2025年2月19日以降に生まれた子供を対象にしています。メリーランド地区米国連邦地方裁判所のデボラ・ボードマン判事は、「いかなる大統領令も、米国最高裁の決定を覆すことはできない」と述べました。この判定は、同じ課題に対して、最初に下された米国最高裁の判定を覆すことはできないことを明白にしました。

ボードマン判事は、35ページの判決文の冒頭で、2025年1月20日に2期目の任期が始まって以来、大統領は大統領令を通して、出生地主義に基づく市民権という我が国の長年の伝統を覆し、合衆国憲法修正第14条の『市民権条項』に明記された権利である『出生による市民権』を、多くの米国人から奪おうと試みてきました」と記述しています。そして、2025年の最初の大統領で最高裁の判決に至った背景を説明し、市民権に関連する歴史的判例を挙げています。最高裁の2025年の大統領令に対する判定では、「米国最高裁判所は、市民権を『この地で自由の身として生まれたすべての者』に拡大するという、合衆国憲法修正第14条の起草者たちの『約束』を遵守した。同裁判所は「合衆国内で生まれたすべての子供に対する市民権」という「ウォン・キム・アーク(Wong Kim Ark)事件における『保証』を再確認した」と記述しています。この事件は米国最高裁によって1898年3月28日に判定されました。

更に、ボードマン判事はトランプ氏が、2025年に、徹底した強制送還を行なった際に、ベネズエラからの移民が集中的に標的にされた移民取り締まりについても言及し、「政府当局は、単にベネズエラ国籍を有しているという理由だけで、他のベネズエラ人を「トレン・デ・アラグア(Tren de Aragua)と呼ばれる外国テロ組織の構成員とみなしている」と指摘しました。2回目の生誕市民権を制限するトランプ氏の大統領令に対する訴訟の原告を代表するCASA, INCは、原告がベネズエラ出身であることに言及している。また、「原告らはさらに、大統領令第2条(b)項が、非市民である親の片方が外国政府の職員である場合、米国内で出生した個人に対し、市民権の付与を拒否している為、出生による市民権の権利が否定される恐れがあると主張している」と述べています。

ボードマン判事は、「原告らが直近の申立てにおいて、認定されたクラス(集団訴訟の対象者)に関し、2026年大統領令の執行を差し止める仮差止命令または一時的差止命令を求めている。認定クラスは以下の通りである。 2025年2月19日以降に米国で出生した、または出生する予定の子供であって、(1)その出生時に母親が米国に不法に滞在しており、かつ父親が米国市民または合法的永住者ではなかった者、あるいは (2)その出生時に母親の米国滞在が合法的ではあるものの暫定的なものであり、かつ父親が米国市民または合法的永住者ではなかった者」と記述しています。更に、「米国最高裁判所は、認定されたクラスに含まれる子供たちは「出生時からの市民」であるとの判断を下した。Trump v Barbara事件の判決は法としての効力を有するものであり、大統領はこれに従わなければならない」と判定しました。

結局、どのような状況であり、米国で生まれた子供は米国市民であるとの単純明快な憲法修正第14条を単に大統領がペン一本だけで、様々な形で歪めることは不可能であり、法律を解釈するのは司法部であると示唆しています。1868年に制定された憲法修正第14条だけに限らず、時代は変化しているため、古い時代に批准された憲法や法律は修正する必要があることは認めますが、それを実現する為には、議会がその修正法案を制定する必要があることを示唆しています。この判定も、三権分立の原理と精神は確固たるものであることを示唆しています。しかし、ボードマン判事は、トランプ大統領に対し、米国最高裁の7月30日の判定に従うよう強く促しているものの、トランプ政権は強く反発しているようです。従って、一部のメディアは、トランプ政権が控訴裁判所に上訴する可能性があると予測しています。その場合、必然的に米国最高裁に到達することになりますが、最高裁はボードマン判事が確立された前例を適切に判断したとして、ボードマン判事を支持する可能性があるか、または、関与しない可能性もあるかもしれません。なぜなら、最高裁の最初の判定に不満を示し、規模を制限したものの、同じ憲法に関して、再度挑戦する大統領は存在しないからです。今回も大統領権限の範囲を試している可能性があります。

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