
Photo credit : The Guardian
米国下院議会でも、多数派を失う可能性がある中で、下院共和党議員の一人はトランプ大統領の移民政策に強烈な表現で抗議するという異例の事態が見られます。加えて、著名な共和党員らが11月の中間選挙では民主党候補者を支持すると公表しています。
米国下院共和党議員マリア・エルビラ・サラザール氏(フロリダ州)は9月17日の木曜日、過激であると批判されているトランプ政権の移民取り締まり政策を直接批判する広告を公開しました。このビデオはテレビ・ニュースでも報じられていることから、注目されています。サラザール氏は、カメラに向かって、「大統領、あなたの移民取り締まり策の一部は行き過ぎています。2024年にあなたをホワイトハウスに送り込む一助となったヒスパニックの人々は今、裏切られたと感じています」と強烈なビデオ声明を行いました。17日、テレビ画面に描写されたサラザール氏によるトランプ氏への移民政策に対する批判は、感情を率直に表現している印象があります。
彼女は、1961年にマイアミの「リトル・ハバナ」地区でキューバからの亡命者の娘として、生まれ、スペイン語と英語を話すバイリンガルとして育ちました。2020年の総選挙で勝利する前は、マイアミのWSBS TVでニュース・キャスターを務めた後、スペイン語放送局テレムンドで30年にわたり勤務し、CNNのヒスパニック系の番組でも活躍しました。2021年1月からフロリダ州の27地区を代表する米国のジャーナリスト、作家および政治家である彼女は、2024年の3回目の再戦で20ポイントの差で大勝利し、現在、米国下院議会でもリーダー層の一人となっています。彼女は、移民政策ではリベラル派に近い方針を打ち出していますので、トランプ氏の移民政策が「行き過ぎである」と表現しても不思議ではありません。サラザール氏は2025年および2026年に超党派の移民改革法案である包括的移民・恩赦法案Dignidad Law (尊厳法)を紹介しました。この法案は、米国内に居住する最大1,200万人の不法移民に就労許可および法的地位取得への道のりを開くことを推進しています。また、亡命審査プロセスを改革することや、オバマ大統領が推進したダカ(DACA)と呼ばれる幼少期入国者への国外強制の延期措置の対象者に市民権取得への道を開くという移民政策を掲げています。2022年の中間選挙では民主党の対抗者43%に対し、57%で勝利し、2024年の中間選挙では民主党の対抗者約40%に対し60%の大差で勝利したという経歴があるパワフルな女性です。
今日、公的に姿を現したサラザール氏に対する主要メディアの反応も注目されています。ニューヨーク・タイムスは17日、「これは党の方針とは一線を画す異例かつ注目すべき動きであり、ヒスパニック系有権者の支持が揺らいでいることを党に示す警告のサインである」と述べています。また、マイアミ地区を代表し、米国下院議員として「3期目を務めるサラザール氏がこうした広告を制作したという決断は、驚くべきことである。彼女は2024年の選挙で20ポイントもの大差をつけて再選を果たしており、下院共和党指導部ではアシスタント・ウィップ(党務補佐役)という要職に就いているからである」と伝えています。トランプ氏は2年前、この選挙区で57%の得票率を記録して勝利しており、フロリダ州第27選挙区におけるサラザール氏の選挙戦は、全米で最も激戦が予想される地域の一つとは見なされていなかった。 しかし、彼女の広告とそのメッセージは、ヒスパニック系コミュニティにおけるトランプ氏の移民政策への反発を示す兆候のようである。近年の選挙で右寄りの傾向にある南フロリダにおいてさえ、一部の共和党員は数ヶ月前から、不人気な政策が11月の中間選挙で彼らにとって痛手となりかねないとの懸念を表明してきたのである」と指摘しています。
共和党内から同党の大統領の政策を公的に批判するというこの驚きの状況は、一部の政治状況と一貫性があります。それは今回の中間選挙に明白に現れています。例えば、従来長年の保守派が民主党から中間選挙に出馬して、知事選で民主党が勝利するには壁が厚かったフロリダでデビッド・ジョリー氏が民主党候補者としてフロリダ州の知事選に立候補しています。サウス・キヤロライナ州では、現役のナンシー・メイス共和党下院議員に対して、元共和党であったナンシー・ラコア氏が挑戦しています。彼女は、共和党の議席であるとの長年の観念は今年、揺らいでいると指摘しています。言うまでもなく、有権者はほぼ全てのトランプ政権の政策に満足していないからです。
ニュースウィークが17日に公開したリストによると、カンザス州では共和党のカンザス州元知事ビル・グレイブス氏は、カンザス州上院選で共和党のロジャー・マーシャル上院議員ではなく、民主党のアダム・ハミルトン氏を支持しています。テキサス州米国上院選挙では、現職および元共和党関係者20名以上が民主党の上院選候補ジェイムス・タラリコ氏への支持を表明しました。ジョージア州では、米国上院議会の選挙で、元共和党上院議員のジェフ・フレーク氏が現役民主党議員ジョン・オソフ氏の再選を支持すると表明しています。同氏は、「民主党員であるオソフ氏が独立性と党派を超えた協力姿勢を示してきたと評価した」ことを「異例の朗報となる」と言います。モンタナ州西部選挙区では、「共和党員が党派を超えて行動する新たな事例が生まれた」とされています。共和党全国委員会の元委員長マーク・ラシコット氏は民主党候補のサム・フォースタッグ氏を支持しています。
また、ジョージ・W・ブッシュ元大統領の元顧問であり、テキサス州で、著名な共和党戦略家のカール・ルーブ氏は、民主党に投票すると公表したことが今日報告されています。同氏が民主党に投票すると述べたのは1994年以来です。地元紙のテキサス・トリビューンの報告によると、共和党候補者のボー・フレンチ氏が13日にテキサス大学オースティン校の南アジア系学生について、人種差別的な発言を繰り返し投稿したことを受け、ヒューストン出身の民主党員ジョン・ローゼンタール氏に投票する」と述べました。最後に、所属党または投票の方向性を変えた個人は、いずれも共和党有権者がトランプ政権の政策に「ただ、うんざりしている」からであると言います。トランプ氏にこれまで数回投票した著名人の一部および有権者は、過激な移民法、関税とイラン戦争の二次的結果として彼らが直面している物価高、米国の驚異的な負債、慢性的且つ病的虚偽と陰謀論など、深い失望の念に晒されていることを示唆しています。