
Photo credit : NBC 4 Washington
米国最高裁が14日に郵便投票を削減するトランプ大統領の大統領令を却下した後、米国郵政公社がどのように反応し、どのような決定をしたかについて気になっていました。なぜなら、11月の中間選挙は、独立した機関である郵政公社総裁の決定次第で、選挙結果に与える影響も変化するからです。
郵政公社(USPS)のトップに立つデイビッド・スタイナー氏は2025年7月15日に就任しました。スタイナー氏は1960年5月4日、カリフォルニア州オークランドで生まれ、1982年にルイジアナ州立大学で会計学の学士号を取得し卒業しました。1987年にはUCLA法学部を卒業し、2000年まで、弁護士として弁護士事務所で勤務しました。スタイナー氏は2009年からフェデックスの取締役を務め、2013年から同社の筆頭取締役として勤務しました。その後2016年まで、廃棄物処理大手のWaste ManagementのCEOとして奉仕しました。USPSの理事会は2025年3月、5年間の任期満了に伴い、同月に退任したルイス・デジョイ総裁の後任選びを開始しました。2025年5月、3人の候補者の中で、トランプ氏が最も好んだ人物はスタイナー氏であることが判明した後、同氏が選択されました。
今年6月24日に開催された上院国土安全保障委員会での公聴会で、民主党筆頭委員であるゲーリー・ピーターズ上院議員は、スタイナー総裁に対し、不在者投票の有権者名簿を提供しない州でも、有権者に投票用紙を配達する意図があるかどうかを確認しました。同氏は、ある規則案が採択された場合、不在者投票や郵便投票を希望した有権者の名簿を連邦政府に引き渡さない州に対しては、郵便投票用紙の配送を保留する方針であることを明らかにしました。複数のメディアは、その日のスタイナー氏の発言をビデオ公開しています。これは米国最高裁が今週14日に、判決を下す2ヶ月半以上前の出来事です。最高裁がトランプ氏の郵便投票を制限する大統領令を却下した後に、スタイナー氏は9月17日、AP通信とのインタビューで、最高裁の判定後、「差し止め命令が出ているため、我々は何もしていません」と述べました。
つまり、USPSのトップ幹部は、トランプ氏の取り組みの論争の焦点となったコンピュータ・システムの開発作業を停止したと述べました。スタイナー氏は、USPSが現在、政治および財的に置かれている状況を「流動性危機」と呼ぶ事態を解決するため、議会に対して制度変更を求めている」とAPのインタビューで語ったと言います。APは「郵便投票を事実上排除しようとするトランプ氏の動きにより、郵政公社は、今年行われる極めて重要な中間選挙を数ヶ月後に控えた時期に、誰に投票資格があるかを左右しかねない予期せぬ『審判役』のような立場に置かれることになった。しかし、スタイナー氏自身はそうした役割を担うことにはほとんど関心がない様子を示したと言います。最高裁の決定を激しく批判し、一部の判事を嘲笑したトランプ氏とは対照的に、スタイナー氏は裁判所の判断について評価やコメントを一切しなかった」と伝えています。APによると、トランプ氏の政策に対する彼自身の立場を語ることを避けたが、「私はあくまで、それをどう実行に移すかという側面から見ていました。我々に課される規則を受け入れるかどうかを、私が決めるわけではありません」と述べました。
USPS総裁スタイナー氏とのAPのインタビューは、時間的余裕がないことが主な理由として短い意見書を書いたブラット・カヴァナフ判事の判定を裏付けています。トランプ氏が3月に署名した大統領令は「複数の連邦機関に対し、州ごとの市民権保持者リストを作成するよう指示するものであった。それらのリストは郵便公社のオンライン・ポータルに送信されることになっており、USPSは、そのプロセスを経て承認された有権者にのみ、郵便投票用紙を送付するよう指示されていた。有権者リストに加え、トランプ氏の大統領令は、各州に対してバーコード付きの統一された様式の封筒を採用するよう求めていた。各州は、選挙が迫った時期にそのような変更を行うのは困難であると主張していた。スタイナー氏は、「その大統領令が公表される約1ヶ月前からその内容を知っていたが、自身の関心は政策の是非よりも、むしろ、その実施に向けられていた」と述べました。
今月初め、リチャード・ブルメンソォー(コネチカット州)民主党上院議員は、公表された内部告発者の報告書に基づき、「このシステムは急速に構築され、多くの不備を抱えていた」と指摘しました。 スタイナー氏は、その内部告発報告書の「一部を読んだ」と述べ、これほど大規模なプラットフォームを短期間で構築することが困難である事実を認めました。「それでも同氏は、プロジェクトに取り組む同僚たちを信頼し、9月15日頃の公開を計画していたと語りました。『我々が迅速に作業を進めたことは間違いありません。個人的な意見ですが、これは極めて困難な大事業であり、それほどの速さで取り組んだIT(情報技術)部門を非常に誇りに思っています』と語りました。」
最高裁の14日の決定を受け、水曜日に郵便公社の職員全員に送付され、AP通信が入手したメモには、USPSが「2026年の連邦選挙において、これらの新しい規則を一切施行しない」方針であることが記されていました。 メモには、「何よりもまず、選挙関連の郵便物については、通常通り業務を行います。我々は確立された手順に従い、全国の有権者や選挙管理担当者のために郵便物を安全かつ確実に届けるという中核的な使命に全力を注ぎます」と記載されていると伝えています。スタイナー氏は「有権者に早期投票を呼びかけ、郵便公社として、以前から推奨してきた封筒やバーコードの利用を今後の選挙でも引き続き奨励していくと述べました。こうした変更は義務ではないものの、対応しない場合、追加料金を支払う必要があるとし、同氏が「封筒にバーコードを使用していただければ、より低い料金を適用します。そうしていただけない場合、処理に手間がかかるため、より高い料金を請求することになります」と述べたことについてAPは伝えています。
最後にUSPSの総裁デイビッド・スタイナー氏は、米国最高裁の判定後に、トランプ氏の大統領令に基づく指示を実行しておらず、業務内容を変更する計画はないと述べているようです。しかし、同氏は6月24日の上院国土安全保障委員会での公聴会で、有権者名簿を連邦政府に引き渡さない州には郵便投票用紙を配送しないことを明白にしました。つまり、USPSは、大統領令の合法性より、むしろ、急速に対応しなくてはならない全ての事務的処理を行い、大統領令に従う意図があったものの、最高裁の判定後はその判定に従ったことを示唆しています。郵便投票に大幅に依存している州では、消印が遅れたために無効とされる投票用紙の数が急増しているため、郵便投票を利用する有権者に対し、少なくとも一週間早めに郵便投票するよう促しています。スタイナー氏は「期日前投票をすれば、すべて解決します」と述べているようです。米国最高裁がトランプ氏の大統領令を却下していなければ、投票登録者の名簿を提供しない州の有権者は郵便用紙を受理しない可能性があったことを示唆しています。郵便投票は、不在者、高齢者、病気を患っている人々、海外駐在の軍隊など、直接投票所に足を運べない人々の為に長年利用されている制度です。しかし、2020年の選挙以来、証拠もなく、多くの不法移民が投票していると主張し、真実を歪め、2025年以来、その慣例を極度に制限するという前例のない混沌に直面していましたが、米国最高裁の多数派は、少なくとも2026年の中間選挙では、合法的な郵便投票の多くが誤って廃棄される可能性を大幅に食い止めました。