団結と冷静さをアピールし、2020年大統領選に地滑り的に勝利したジョー.バイデン大統領は4月30日で最初の100日目を迎える中で、堅調な支持率を示している。一般的に反対党の大統領が政権交代する場合、後継者は前任の大統領の政策をほぼ全面的に排除することはないが、2017年1月20日から2021年1月20日の早朝まで、ホワイトハウスを占領した前大統領ドナルド.トランプは、前任者バラク.オバマの政策をほぼ全て撤廃した。しかし、当時オバマの副大統領であったバイデンは、そのトランプが廃棄した多くのオバマの政策を大胆に回復する中で、トランプが残した一部の政策には慎重であり、一部の政策を後押している。少なくとも、極端に分裂した米国を統一することを目指すバイデンは可能な限り、超党派の姿勢を維持するよう努めているように見える。
ジョー.バイデンは、これまで報告された世論調査で、支持率が過半数を占めている。Five Thirty Eight の4月24日の更新によると、バイデンの全国平均での支持率は53.8 %で、不支持率は39.9%である。また、4月1日から4月22日までに実施された5機関の世論調査は、バイデンの支持率が50%以下になることはなく、引き続き堅調な支持を得ていることを示唆している。
| 調査機関 | 調査日 | 支持率 | 不支持率 |
| イプソス | 4月21日〜22日 | 53 | 40 |
| ラスムセン | 4月20日〜22日 | 55 | 39 |
| モーニング.コンサルト | 4月20日〜22日 | 57 | 38 |
| ギャロップ | 4月01日〜21日 | 56 | 39 |
| YouGov | 4月17日〜20日 | 50 | 39 |
民主党の大統領にとって重要な政策は、空気の清浄化、環境破壊の防止、国民全てのヘルスケア、移民問題などが含まれているが、トランプ前大統領は特にこれらの課題で、前任者オバマの政策を大統領令で撤廃した。トランプが行ったように、反対党の次期大統領はペン一本で、前大統領の行政命令または大統領令を撤廃できるため、バイデンも同様に、1月20日午後に就任式が終え、ホワイトハウスに入った直後から空気の清浄化、環境破壊などの課題に関連するオバマ時代の自動車排出基準を含めて、 トランプの大統領令で撤廃された多数の政策を回復させるための大統領令に署名した。この日、選挙中の公約であった気候変動の国際合意であるパリ協定も含めて大統領執務室で17の大統領令、覚書、および布告に署名した。その大統領令の署名はその後も続き10日間で合計42の大統領令に署名した。それらはヘルスケア、人種的平等の推進と地域社会への支援、経済、Covid-19、国勢調査、移民、倫理、規制の現代化などが含まれている。移民の課題では、子供と両親を引き離すトランプの政策の撤廃、および子供の頃、不法移民の成人に米国に連れてこられた子供たちに滞在と労働許可を与えるオバマのダカ(DACA)プログラムはトランプに撤廃された為、バイデンはこれを回復するための大統領令、覚書、および布告に署名した。つまり、トランプによって非常に多くの廃棄されたオバマ政権の政策はバイデンによって、就任最初の10日間でほぼ回復した。
一方、バイデンは、一部の外交政策ではトランプが求めていた政策を進めている。例えばトランプは彼の最後の年である2020年10月初旬に米兵を帰国させたいと言った。バイデンは彼の政権が9.11の20周年にあたる2021年9月11日まで、米軍をアフガニスタンから撤退すると発表した。彼は4月12日ホワイトハウスの条約室からのスピーチで、「アフガニスタンでの戦争は多世代にわたることを意図していなかった」と述べ、長かった戦争を終えるため、現在当地に在留している約3,000人の兵士を徐々に帰国させる計画を発表した。
2001年9月11日の同時多発テロで、約3,000人が死亡したテロリズムに対応するため、2001年10月7日に当時の大統領ジョージW.ブッシュ下でアフガニスタン侵攻が開始された。ブッシュ政権とオバマ政権は、同時多発テロを指揮したとされるアルカイダのオサマ.ビンラディンを引き渡すよう要請し続けたが、当時、アルカイダの指導者はビンラディンの引き渡しを拒否した。アメリカ軍は2001年10月にアフガニスタンに侵攻した後、米軍はすぐにタリバンを打倒したが、ブッシュ政権は2003年3月にイラク戦争を開始した為、アフガニスタンに駐留していた大半の米軍をイラクに移送した。その後、治安が弱体化した同地で、タリバンはNATO軍と残っていたアメリカ軍に対する戦闘力を再度強化した。オバマ政権は2011年5月2日、アルカイダの温床となったパキスタンに逃亡していたビンラディンの隠れ家を発見し、特殊部隊によって、彼を拘束する予定であったが、状況的に殺害する結果となった。その後もアフガニスタン戦争は続いていた。当時二期目の最後の年であったオバマ大統領は、2016年7月にアフガニスタンでの治安情勢は不安定であるとする理由から 8,000人以上の兵士を保持すると述べた。つまり、2009年1月から2021年1月までに三人目の大統領になったバイデンは、アフガニスタンからの米軍を撤退させることを望んでいたトランプに代わって、遂に20年後にその長かった戦争を終えると公約した。
国内政策では引き続き、米国を分裂させている課題である銃器の保持、人種問題、不法移民、インフラストラクチャー、警察改革などでバイデンは苦戦している。特に銃規制や人種問題、投票権、ワシントンDCを州にする政策は非常に政治的であるため、副大統領のカマラ.ハリスを加えて51対50の投票で法案を制定でるきほど上院共和党の圧力は脆くない。難民および亡命者への援助は、最近のバイデンの緊急課題のひとつであるが、トランプ政権下と同様に引き続き記録的な数の同伴者のいない10代の子供達が拘留センターに収容されている状況下で、難民および亡命者の受け入れを増加することは現実的には困難である。カリフォルニア州の米国下院共和党の少数派リーダーであるケビン.マッカーシーは、国境付近にあるエルパソの移民処理センターを3月15日に訪問し、「テロリストがメキシコを経由して米国に入国しようとしている」という根拠のない主張を繰り返している。その状況下で、トランプが残した移民政策には特に慎重であり、バイデンは超党派の討議を行う姿勢を維持している。
しかし、ジョージ.フロイドを死に追いやり、殺人罪で起訴された元ミネアポリス警察官デレク.ショーヴィンの裁判では最終的に、陪審員がショーヴィンの3つの罪状を全て有罪であると判定した。その翌日の21日、上院議会では超党派の議員らがこの問題に注目し始めた。バイデンが警察改革を支持している中で、多数派のアメリカ国民も支持している為、これは正しい動きである。ABCによると、最新のABC News / Washington Postの世論調査では、米国の警察が「過度の力を使わないよう適切に訓練されている」という自信は最低値に達し、アメリカ人の60%は、「黒人の虐待について警察に責任を負わせる」ため、もっと措置を講じるべきであると述べ、警察改革を支持している。
バイデンの勝利が決定的となった2020年11月7日から、トランプ政権下で米国は間違った方向に進んでいると米国過半数のアメリカ人が感じていた。主要メデイアは、正しい方向に向けるためのバイデン大統領と彼の新政権の仕事は、非常に困難であると予測していた。しかし、少なくともコロナウイルスに対する措置は、トランプ政権の何もせず自然に任せる方針下で、制御不可能になっていた危険な方向への軌道修正が驚異的なスピードで行われている。バイデン政権は数ヶ月後に、死者数と入院数を大幅に減少させ、現時点では、米国の豊富なワクチンの有利性は一部の国の非難と嫉妬の的になっていると言われるほどである。バイデンは気候変動、移民問題、健康問題、米国民の経済的安定性を含む全ての課題で「人道的」に対処したいと述べている。また、1.9兆ドルの救済法案のため、4月初旬から米国の経済は活性化し始めたと報告されている。この状況はバイデンの堅調な支持率に矛盾がないことを示唆している。