
サンタフェ郡のボナンザ・クリーク牧場: By CBC News
ハリウッドは総体的にリベラル傾向の世界である。その中でも、現在注目を浴びているアレック・ボールドウィンはとりわけリベラルなベテラン俳優として有名である。特に、ドナルド・トランプが大統領であった時、SNL(Saturday Night Live)として知られるパロディ・ショーでトランプを風刺的に演じ、高い視聴率で成功した。ボールドウィンは21日、ニュー・メキシコ州サンタフェでの映画撮影中にプロップ・ガン(小道具銃)の引き金を引き、無意識のうちに撮影監督者の女性を死亡させた。この事件のニュースでは、銃器に馴染みがない一般的アメリカ人には認識されていない用語が幾つか登場する。ボールドウィンは、事故で起きた殺人に対する刑事上または民事上の責任を問われるのだろうか?
サンタフェ郡のボナンザ・クリーク牧場で行われていた映画(Rust)の撮影中に、有名な俳優アレック・ボールドウィンは、実弾が含まれていたことを知らず、「プロップ・ガン」を砲発した事故で一人が死亡し、別の一人が重症を負った。一般的には馴染みが薄いこの用語は頻繁に利用されている。USA Todayによると、プロップ・ガンは幾つかの異なる意味がある小道具銃または小道具銃器であり、偽の銃だけでなく、小道具として使用されている実際の武器を指すこともあり、プロップ・ガンは空の弾薬を発射する機能的な銃器を指すこともある。小道具の武器は「実際に身体的危害を加えることができる」可能性があるため、あるレベルの安全プロトコールに対応する必要がある。プロップ・ガンは騒音を発生させる可能性があり、火災の危険をもたらす可能性もあるという。
サンタフェ郡保安官事務所のジョエル・カノ刑事が署名した宣誓供述書を引用した25日のニューヨーク・タイムスによると、助監督は、映画の装甲車が屋外に設置した3つの小道具銃のいずれかを灰色のカートに乗せてボールドウィンに渡し、銃に実弾が含まれていないことを意味する「コールド・ガン!」と合図した。法執行当局は、ボールドウィンが銃を発砲したとき、映画の撮影監督を射殺し、別の監督を負傷させ、映画の撮影現場での「銃器の安全性について新たな疑問」を提起したと述べた。 捜索令状申請書の一部として作成された宣誓供述書では、助監督がボールドウィンにそれを渡したとき「ライブ・ラウンドが小道具銃に入っていたことを知らなかった」と述べた。銃をほとんど利用したことがない一般的な人々にとっては、ライブ・ラウンドも馴染みのない用語である。これは、映画業界で使用されており、撮影の準備ができているブランクなどの材料が銃に装填されていることに言及する。宣誓供述書は銃に搭載されていた弾薬の種類を特定していない。この致命的な事故で死亡した撮影監督であるハリーナ・ハッチンズ(42歳)は胸を打たれ、アルバカーキのニューメキシコ大学病院に運ばれたが、まもなく死亡した。映画監督であるジョエル・ソウザ(48歳)は、肩の部分を撃たれて負傷した。 彼はサンタフェにあるクリストス・セント・ビンセント・リージョナル・メディカル・センターに搬送され、治療後に開放された。
映画の撮影関係者は誰も実弾が挿入されている銃器が、この撮影現場にあったことを認識していなかったようである。常識的に考えた場合、小道具銃を渡す関係者もそれを受理した当人も、引き金を引く前に安全であるかを確認するべきであるが、それは惰性的であったことを示唆している。同様の例は過去にもあるが、武器を利用するハリウッドの安全規定について疑問を投げかけている。しかし、撮影中に、実弾が入った銃器で、俳優が死亡した例は、これが初めてではない。1984年に俳優のジョン・エリック・ヘクサムは、テレビ・シリーズ「トップモデル諜報活動」の撮影中に、実弾が入った銃で、事故により頭を撃ち死亡した。最新の例では1993年に、当時28歳だったブルース・リーの息子ブランドン・リー は映画「クロウ」の死のシーンを撮影中、.44口径を砲発した直後に死亡した。彼は空銃を発射したはずだったが、検死により彼の背骨の近くに弾丸が発見された。リーは、映画の撮影シーンで小道具銃による最後に記録された不慮の死でショックを与えた。実際に起きた事故は他にも幾つかある。
一人が死亡し、別の一人が負傷した21日の事件で、ボールドウィンは刑事上または民事上の責任を問われるのだろうか?USCグールド法科大学院のグレゴリー・キーティング教授は「誰かが怠慢だった事に違いはありません。これは過失なしには起こりません。 従うことになっている安全プロトコールがあります。それは本当に誰が怠慢であり、責任がどのように分担されるかという問題です。事実が曖昧なので、それは漫然としています」と語った。ホワイトカラーの顧客を代表するロスアンゼルスの被告側弁護士リチャード・カプランは、調査の結果によっては「非故意故殺の罪」に問われる可能性があると述べた。 ニューメキシコ州では、過失または十分な注意の欠如のために死に至る合法的な行為を行った人に対して、過失致死罪が提起される可能性がある。カプランは「誰かが、このようなことが起こらないようにするべき」であると述べ、「誰かが責任を負っているなら、撮影中の武器庫を担当した人がそうである」と述べた。カリフォルニア州で、法学部の弁護士実践を教えるマシュー・ナッシュは、ボールドウィンは非故意故殺の罪に問われる可能性があると述べた。ボールドウィンが、プロップ・ガンの取り扱いに無謀であることが判明した場合、たとえば、そうしないように忠告されたにもかかわらず武器を砲発した場合、そのような告発に直面する可能性があると述べた。「ニューメキシコ州法の下では、アレック・ボールドウィンは、非故意過失致死罪で有罪となる可能性があるようです」と語った。 ナッシュは、4度の重罪下で「最大の罰則は5,000ドルの罰金または18ヶ月の懲役になるでしょう」と述べた。
この事件には多くの謎が潜んでいる。なぜ、実弾が含まれている武器が撮影現場にあり、そのひとつが俳優のアレック・ボールドウィンに手渡されたのか? なぜ、慎重な安全確認が行われなかったのか? 安全プロトコールは存在しなかったのか?常識的に考えると、この事件は理解しがたい。わずか数分の慎重な対応があれば防ぐことが可能であったことを示唆している。それが怠慢による結果であった場合、あまりにも悲劇的である。ハリーナ・ハッチンズは1979年にソビエト連邦のジトームィル州ホロデッツで生まれ、国立農業大学とキエフ国立大学に通い、最初に経済学を学び、その後、国際ジャーナリズムの学位を取得して卒業した。その後、東ヨーロッパで調査ジャーナリストとしてドキュメンタリー・ジャーナリズムに取り組んだ。既に30以上の映画制作に参加しており、スターの座に登り始めたと言われていた。彼女の死について、ボールドウィンは、完全に調査に協力すると述べたことが翌日報告された。この映画の主演俳優であり、そのプロデューサーの1人でもあるボールドウィンは22日「警察の捜査に全面的に協力している」と語ったという。この事件から5日が経過した今日、この事件でのボールドウィンの刑事または民事的責任について、注目されるようになっている。