
By Al Arabiya
ジョー・バイデン大統領はロシアのウクライナ侵略は間近に迫っているとの緊張が高まっている中で、12日にロシアの大統領ウラジミール・プーチンと電話で約1時間の会談を行い、その結果は深刻になると警告したと報告されている。実際にプーチンはウクライナを侵略するだろうか?そのような最悪の事態が起きた場合、どのような状況になるのか専門家は幾つかのシナリオについて語っている。近年の歴代大統領によるロシアとの葛藤を比較すると、バイデン政権は2001年以来、最大の緊迫状況に直面している。
ニューヨーク・タイムスが13日に更新した報告によると、バイデン大統領は土曜日にウラジミール・プーチンに対して、彼が攻撃をエスカレートし、ウクライナに侵入する場合、ロシアに「迅速かつ深刻な」経済的損失をもたらし、彼の国の地位を低下させ、「広範な人間の苦痛」を引き起こすと警告した。バイデンの1時間の電話後、政府高官は、大統領の国家安全保障顧問であるジェイク・サリバンが11日に数日以内で、ウクライナから脱出するようアメリカ人に警告した時と同じくらい緊急であると述べた。しかし、 政府高官は、プーチンが侵略するかどうかについては、現在のところ、曖昧である。記者団に要旨説明を行った国家安全保障当局者は「数週間にわたって展開されている軍事的駐留は「根本的な変化はなかった」と述べ、軍隊の存在を構築し続け、「事実上ウクライナを取り囲んでいる」状況があることを認識しているという。プーチンの外交政策補佐官であるユーリ・ウシャコフは、バイデンとの電話が「ビジネスのような」トーンであったが、ロシアのウクライナ侵攻が差し迫っているとして、アメリカは「ヒステリー」状態になっていることに懸念していると述べた。電話の前日に、バイデン政権はプーチンがいつでも攻撃を開始する可能性があると警告していた。
ロシアは東ヨーロッパにおけるロシアの安全保障上の懸念があり、プーチンの要求は、ウクライナがNATOに加盟することは決してないという条件が含まれている。ホワイトハウスの関係者は、バイデンがさまざまな外交オプションについて話し合ったが、プーチンを説得できたかどうかは不明であると述べた。国防総省は、ポーランド国境近くでウクライナ軍と協力していた160人の米軍訓練者を一時的に国外へ引き出したと述べた。現在、外交的な解決への道は狭くなっているという。サリバンは11日に記者団に「ウクライナ国境に新たな軍隊が到着するなど、ロシアが軍隊を拡大している兆候が見られる」とし、2月20日に終了する予定の「オリンピック期間中」に「侵攻が始まる可能性」があると予測した。
ロシアがウクライナを侵略する可能性については、現在ワシントンの最大の懸念になっている。ホワイトハウスはその懸念を高めている為、実際にそれが起きた場合の推測は様々である。ロシアの侵略が始まった場合、「非常に激しい、非常に血なまぐさい戦争」になり、それは「大陸をさらに不安定にするであろう大規模な難民の流れと急上昇する軍事的緊張を引き起こす可能性」がある。これは、バイデン政権が戦争の発生を防ぐために必死に努力している理由である。バイデンの2つの戦略には、ウクライナや東ヨーロッパでの地上発射ミサイルシステムの配備など、ロシアのもっともらしい懸念事項について交渉する提案が含まれている。一方、バイデン政権は「独自の地政学的調整を選択するウクライナの権利」についての交渉を拒否し、NATOが東欧を事実上放棄するというロシアの要求も拒否した。これらは和解への道が狭い理由の一部である。「合理的な戦略が常に成功するとは限らない」ことに加えて、プーチンは、彼が侵略のために支払うかもしれない代価は、ウクライナがNATOに加盟するコストより少ないと計算しているとの分析もある。
戦争に発展した場合、ロシアがヨーロップに供給している天然ガスはどうなるかという懸念も提起されている。ソビエト連邦時代に、パイプラインで天然ガスを供給することにオーストリアと合意した1968年以来、ロシアは西ヨーロッパに天然ガスを供給している。英国のウォーリック大学のウォーリック・ビジネス・スクールで、グローバル・エネルギーを教えているマイケル・ブラッドショー教授は13日、ロシアは主にパイプラインを通して、天然ガスの約40%をヨーロッパに供給していると述べた。 また、オックスフォード・エネルギー研究所によると、2021年に、ロシアがトルコを含むヨーロッパに供給したガスの22%はウクライナを経由している。ロシアの侵略によって戦争が勃発した場合、または特に緊急の場合、天然ガスの流れに何が起こるかという懸念が提起されている。
近年の大統領はほぼ全員がロシアと対立、危機または論争的な問題に直面している。例えば、2001年から2009年までジョージW.ブッシュ政権下では、ポーランドにミサイルを配備する米国の計画をめぐる論争があった。2008年8月にはロシアとグルジアの衝突があった。2009年から2017年までのオバマ政権下で、2012年から2015年まで米国とロシアとの緊張は高まった。2013年にはエドワード・スノーデン事件があり、スノーデンはロシアに逃亡した。2014年にロシアはクリミアを併合した為、オバマ大統領はロシアに対する経済制裁を科すという対立があった。2015年9月末からのシリアの内戦では、ロシアが軍事介入した。2017年から2021年での期間にトランプ政権ではドナルド・トランプの選挙にロシアが干渉したプーチンの影響力が緊張と論争を引き起こした。
要するに、戦争を避けたいバイデン政権は、ロシアが和平交渉の路線で、問題を解決する姿勢があるかどうかについて、確信がないようである。その緊迫状態が続いている中で、13日バイデン大統領はウクライナの大統領ヴォロディミール・ゼレンスキーと電話会談を行い、両首脳は平和的な交渉を続けることに合意した。ホワイトハウスによると、両国の大統領は、ウクライナ国境でのロシアの軍事力増強に対応して、外交と抑止力を追求し続けることの重要性について同意した。バイデン大統領は、米国が同盟国やパートナーとともに、「ウクライナの主権と領土保全」に対するロシアのさらなる侵略に、迅速かつ断固とした姿勢で対応することを明白にした。近年の大統領では、2021年1月 からのバイデン政権は、おそらく戦争に発展しかねない最も緊迫したロシアのウクライナ危機に直面している。