新国防長官ヘグゼスのNATOでの会談は何を示唆?

Photo credit : New York Post

Hegseth calls Ukraine’s peace goals ‘unrealistic’ in meeting with allies    The Washington Post: February, 12, 2025

米国の新国防長官ピート・ヘグゼスは12日にブリュッセルのNATO本部で開催された最初の同盟国NATOのメンバーとの会談で、ウクライナの平和交渉で求めているものは「非現実的」であると述べた。また、同国がNATOに加盟することもないとして、ヴォロディミール・ゼレンスキー大統領の主な二つの目標を否定した。この記事は、NATOのメンバーがヘグゼスとの会談で、ジョー・バイデン大統領時代のような進歩的なアイデアはなかったことを伝えている。

ゼレンスキー大統領の目的は、バラク・オバマ大統領の時代にロシアが2014年併合したクリミア半島も含めてロシアが奪った全ての領土を完全に取り戻すことであったが、ヘグゼス国防長官は、その願望は「非現実的」であると述べ、戦闘を終わらせるためのどのような合意も、ウクライナとロシアとの軍の境界線に対する国際的な監視(international oversight of the boundary)を伴うものでなければならない」と述べ、キエフはNATOの加盟国にはならないと述べた。しかし、トランプ政権は両国間の戦争を終わらせるための和平交渉を追求(pursue peace negotiations to end war)し、その開始時に明確に交渉の方向性を定めると公約した。ヘグゼスは「この幻想的な目標を追い求め(chasing this illusionary goal)ることは、戦争を長引かせ(prolong the war)、さらなる苦痛と苦難(more pain and suffering)をもたらすだけだ」と述べた。そして、和平協定には「強固な安全保障(robust security guarantees)」とウクライナのNATO加盟の禁止(no NATO membership for Ukraine)を伴わなければならないと言った。将来紛争が生じた場合、他の国がウクライナ領土を守ることを要求することになると示唆した。

ヘグセスのこの発言は、これまでウクライナ政府に武器、医療機器、その他さまざまな支援をしている同盟国に対するものである。そして、米国の新たな国防長官は、米国の優先事項はまず中国との競争激化(rising competition with China)に注力することであり、欧州諸国は欧州の安全保障を保証する上で主導的な役割を果たすべき(must take the leading role)であると述べた。同氏は「米国がこうした脅威に最優先的に注意を払う(prioritizes its attention to these threats)中、欧州の同盟国は先頭に立って主導する必要がある」と述べた。ヘグゼスは「協力すれば、欧州と太平洋でそれぞれ比較優位(comparative advantages)を最大化する分業体制を確立できます」と述べた。

ウクライナ防衛連絡グループ(the Ukraine Defense Contact Group)として知られるこの会合は、侵攻後(the aftermath of the invasion)に、ジョー・バイデン大統領下で国務長官であったロイド・オースティンによって設立された。オースティンとそのチームはバイデン政権の残りの期間、これらの会合を運営したが、12日の会合はジョン・ヒーリー英国国防相がヘグゼスを近くに座らせて運営した(ran the meeting with Hegseth seated nearby)。ヘグゼスのメッセージの変化は、共和党内で米国のウクライナ支援に対する懐疑心が何年も高まってきた(years of growing skepticism)背景を反映している。ドナルド・トランプ大統領は最近、米国がキエフ政府に提供してきた大規模な軍事支援(the extensive military assistance)に対して補償を受ける必要がある(needs to be compensated )と述べ、ウクライナの土地から5,000億ドル相当の鉱物を採掘したい意向を示した。

一方、ゼレンスキー大統領は長年、2021年の侵攻後に奪取された領土(territory taken following the invasion)や2014年の電光石火の進撃(a lightning-quick advance)で奪取された領土を含め、ロシア軍が奪取した領土を1インチたりとも無駄にしないよう戦うと述べてきた。この以前の攻撃により、ロシア軍は黒海のクリミア半島(the peninsula in the Black Sea)を併合した。クリミア半島は、ロシア軍が2021年の侵攻の一部をここから開始した場所である。ウクライナはクリミア半島のロシア軍に繰り返し攻撃を仕掛け(repeatedly launched attacks)、同半島占領の取り組みを複雑にしている。しかし、キエフの武力による奪還の取り組みは2023年の反撃が停滞し(stalled in a counteroffensive)、ゼレンスキー大統領はロシアとの交渉の可能性が浮上し始めたため、最近は発言を和らげている。以前ゼレンスキー大統領は、ロシアが軍を撤退させた時に初めて交渉は開始できると述べていたが、最近では「永続的な平和(lasting peace)」の必要性に焦点を当てている。

最後に、NATO本部で行われた最初の同盟国NATOのメンバーとの会談は、米国が中心となったものではなく、主に英国国防相ジョン・ヒーリー(中央:赤のネクタイ)が率いたことを示唆した。これは、ドナルド・トランプの一期目からNATOを弱体化する発言を繰り返した状況を一部反映しており、ヘグゼスはトランプから独立した立場で語っていないことを示唆した。ウクライナのNATO加盟については、バイデンの4年間の期間でさえ、NATOへの加盟を繰り返し求めてきたゼレンスキー大統領の願いは達成されることはなかった。その理由は加盟国全員が積極的な同意を示していなかったためである。ヘグゼスはトランプに指名された長官であるように、プーチンに対して敬意を示すトランプの立場を十分に配慮したことを示唆した。しかし、同盟国が懸念したようなウクライナへの武器輸出を突然停止すると言う事態には至らなかった。それでも、3年前の2月にロシアがウクライナ侵略を開始した後にNATOと団結し、「ウクライナへの支援を結集しようとした」ジョー・バイデン政権と大きな違いがあることを明白に示した。ロシアが始めた侵攻であるにも関わらず、同盟国として支援したのはバイデン政権であるにも関わらす、多くの国民は家を失い、幾つかの領土を失った「ウクライナの土地から5,000億ドル相当の鉱物を採掘したい」との表明は驚くことではない。トランプは、この取引について、10日にフォックス・ニュースなどで、米国の援助と引き換えに「5000億ドル相当のレアアース」を求めていると公的に語っている。レアアースは携帯電話、磁石、電池、自動車、ガラス、照明、風力タービンなど多くの製品に利用されている重要な鉱物群である。トランプはウクライナが「それに同意している」と述べたが、「米国の援助と引き換え」は、過去の援助のみに言及しているような印象を与えているが、今後の援助も含まれるのか不明であると言われている。両国がレアアースの取引に発展する場合、ウクライナにとって悪いニュースではないとの推測もある。

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