専門家らは南アフリカでの白人大量虐殺を否定

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ドナルド・トランプ大統領は、南アフリカで白人の大量虐殺が行われているとして、最近アフリカーナーと呼ばれる数十名の白人農民を難民として米国移住を認可したことはご承知の通りである。21日の今日、南アフリカの大統領シリル・ラマポーザをホワイトハウスに招待したトランプ大統領は、記者団および政権関係者一部で混雑した大統領執務室で、引き続き白人農民が大量虐殺されているとの主張を繰り返したため、ラマポーザ大統領は公然とその主張を否定した。複数の法専門家も南アフリカでは、全土で暴力事件が発生しているが、それは白人の大量虐殺と言えるものではないと説明している。ホワイトハウスでのエピソードはリーダーが、場合によっては、その国の歴史的背景や社会的風潮を知る必要があることを示唆している。

南アフリカから59人(最新の複数の情報源)の白人だけの難民グループが米国に到着した5月12日、アフリカーナーのための迅速な入国手続きを行った理由を記者から問われたトランプ大統領は、「彼らは殺されているからです。我々は人々が殺されるのを見たくない。しかし、皆さんが書きたくないのは、今まさに起こっているジェノサイド(大量殺戮)です」と答えた。 トランプはさらに「南アフリカでは白人農民が残酷に殺され、土地が没収されている」と言った。この政策は、トランプ大統領が2月7日に署名したアフリカーナーを米国への再定住を認める大統領令に基づいているが、南アフリカ政府は、大量虐殺の事実を否定し、大統領令に反対していた。

大統領令が発令された翌日の2月8日に南アフリカ政府は声明を公表し、トランプ大統領が「発した最新の大統領令の根底にある前提は事実関係に欠け、南アフリカの深く痛ましい植民地主義とアパルトヘイトの歴史を認識していないことは、極めて懸念すべきことです」と述べている。さらに「偉大な我が国を誤って表現しようとする、偽情報とプロパガンダによるキャンペーンと見られる事態を懸念しています。このような言説がアメリカ合衆国の意思決定者の間で支持されているように見えるのは、非常に残念です。皮肉なことに、この大統領令は、南アフリカにおいて依然として経済的に最も恵まれた層に属する人々に米国での難民認定を認める規定を設けています。一方で、世界各地から米国に逃れてきた脆弱な立場にある人々は、深刻な困難に直面しているにもかかわらず、国外追放され、庇護申請を拒否されています」と述べている。

そして、トランプ大統領は21日、ラマポーザ大統領に対して白人農民を保護するよう圧力をかけ、白人農民が虐殺されていると繰り返し主張した。この会談中、右側のソファの後ろ側に立っていたイーロン・マスクが提供したとされるラマポーザ大統領の政敵で過激少数派の政治家が「ボーア人を殺せ」、「ボーア人を撃て」という歌詞の古い反アパルトヘイト・ソングを歌っている動画を紹介した。ボーア人は南アフリカの白人農民を意味する。ビデオをラマポーザ大統領に見せることで、アフリカーナ難民の政策を擁護した。イーロン・マスクはこのビデオを自身のXアカウントに数回投稿したと言われている。

現在アフリカで起きている現実は、トランプが描写している話と一致していないことを示唆した。たとえば、トランプは多数の白人農民が土地の搾取や殺害に直面していると主張しているが、ラマポーザ大統領とともに、代表団の一員ある農業大臣ジョン・スティーンハウゼンは、その会合前に、ラマポーザ大統領が「ワシントン訪問の際に、南アフリカで大規模な土地収用が行われておらず、ジェノサイドも起きていないことを、相手に事実を示してくれることを心から願っています」と語った。また同氏は、南アフリカは農村部だけでなく、全土で暴力と犯罪は蔓延しており、白人に対する攻撃だけに限ったことではないと指摘し、白人農民の殺害は政府に責任があるとするトランプの主張を否定した。

トランプ大統領が強調している白人殺戮に関する論争的な課題に詳しい専門家とメールでインタビューしたファクトチェック 組織によると、パリのジャン・ジョレス財団政治的急進主義観測所の共同所長で政治学者のジャン=イヴ・カミュは「確かに、南アフリカでは白人農民が殺害されています。しかし、『白人大量殺戮』などというものは存在しません。この問題は、犯罪とギャング活動に悩まされている国という、より広い文脈で捉えられるべきです。 警察の統計はこの問題に関して不正確ですが、ここ数年、農場で年間約50件の殺人事件が発生しています。これは、南アフリカ全体の殺人事件の1%にも満たない数です」と語った。ヨハネスブルグ大学アフリカ社会開発センターの政治・批判社会学者アンソニー・カジボニは「南アフリカでは、殺人を含む農場襲撃事件が実際に発生しており、その多くは紛れもなく残虐です。しかし、南アフリカはより広い社会経済的・歴史的文脈の中で理解されるべきです」と述べた。また、南アフリカは「極端な不平等を抱えており、人口の約10%(主に白人)が富の80%以上を所有しています。また、深く暴力的な過去があるこの国では構造的な暴力が、身体的暴力、経済的暴力、その他多くの形態の暴力と並んで、今日もなお存在し続けています。暴力犯罪は農民だけでなく、社会のあらゆる層に影響を及ぼしています」と述べた。

暴力犯罪の一因は、南アフリカの英国統治下で制定された1913年原住民土地法である。この法律は、ヨーロッパがアフリカで領土を拡大し始めた19世紀後半からの植民地帝国主義に端を発している。同法律は、南アフリカの10分の1未満の土地を黒人「保留地」と定義し、保留地外での黒人による土地の購入または賃貸を禁止した。この法律はまた、白人所有の農場における黒人の居住条件にも制限を加えた。この制限により、何千人もの黒人家族が土地から強制的に追放される結果になった。これを含む幾つかの法律はアパルトヘイト後の1991年に廃止されたが、土地所有における人種間の顕著な格差は現在も続いている。南アフリカ政府の2018年報告書によると、白人の人口はわずか約7%であるが、彼らは全土地の約72%を所有していた。最近採択された収用法は、憲法に定められた法的​​手続に基づき、数十年にわたる植民地主義とアパルトヘイトを経て、国内の土地分配の均衡を早急に図ることで、公正かつ公平な方法で国民が土地にアクセスできるようにすることを目的にしている。南アフリカ人権委員会は2021年、南アフリカの「著しい不平等はしばしば人種差別と人種間の分極化につながる」と指摘した。

要するに、専門家、南アフリカ政府、国連を含む国際機関などは、トランプ大統領の主張が正確且つ事実に基づいていないと指摘している。国の歴史、法律、現状を示す統計的記録などを吟味し、物事を正確に判断することは時には困難な場合もある。しかし、「木を見て森を見ず」による全体像が反映されない類のレトリックが米国合衆国の大統領と意思決定の側近達から来ているという事実に南アフリカの指導者は驚きと失望を表明している。今日のホワイトハウスでの会談は、公然と専門家が指摘した事実を反映していないとされる表現を米国の大統領が南アフリカの大統領シリル・ラマポーザに説教をすることで、2月7日の大統領令による論争的な難民政策を擁護したことを示唆した。これは、米国大統領としての優位性を示すためのパフォーマンスであったが、ラマポーザ大統領は、攻撃的な態度を示さず冷静に反論したことが注目に値する。

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