政府閉鎖が歴史的に長くなっている中で、ホワイトハウスと議会はいずれも焦りを見せ始めているように思われる。トランプ大統領は週末にACAの助成金を直接国民に提供するよう要請した。そして、9日夜半、上院議会は政府閉鎖を終えるための法案に投票し、8人のリベラルな議員らが共和党に参加したため、その法案は可決した。政府閉鎖の解除に近づいているが、圧倒的多数の民主党が賛成票を投じなかった理由や今後の民主党の有利性は何か?
政府閉鎖により、現在約65万人の連邦職員が一時帰休であり、フード・スタンプの給付は混沌状態となり、7日から飛行便のキャンセルが始まり、少なくとも1 日に1,000の飛行便がキャンセルされると予測されている。アメリカ人のほぼ全てが混沌に直面している中で、ドナルド・トランプ大統領は8日、上院共和党に対し、オバマケア又はアフォーダブル・ケア法(ACA)と呼ばれる「医療保険制度改革法の補助金の資金を医療保険会社から一般のアメリカ人に振り向ける」ための変更を行うよう要請したことが9日に報告されている。直接アメリカ人に送金するという大統領の提案は、議会の行動が必要であるが、民主党は反対している。なぜなら、大統領は、アメリカ人が直接オバマケアより「良好な医療保険を購入」することを可能にするためであると主張している。つまり、この提案は民主党に可能な限り圧力をかけるための策略と見られている。
米国下院議長マイク・ジョンソンは、民主党議員らが先に政府をオープンしない限り、ACAの助成金延長について論議することはないと繰り返し述べていた。上院多数派共和党のリーダーであるジョン・スゥーンもジョンソンと同様にACAの助成金に関連する論議は、トランプ大統領のこの提案も含めて、政府閉鎖を解除した後に行うとし、上院議会の議場はオープンしたままの状態になった。上院少数派の民主党リーダーであるチャック・シューマーは8日、政権が栄養補助プログラム(SNAP)に関して、政権の弁護士が最高裁に上訴した事を受け、政権を「悪意的に残酷である」と批判した。
しかし、7日から飛行便さえキャンセルが開始された中で、11月10日に40日間政府閉鎖が続く中で、議員らは苛立ちを見せ始め、遂に昨夜、上院議会ではジョン・スゥーンが政府閉鎖を終えるための行動を開始した。それには12月31日に期限切れとなるACAの助成金の延長について12月に採決を行うと約束したことが盛り込まれている法案の投票に至ったことである。上院議場では9日夜、投票を行い、この条件が含まれている政府閉鎖解除のための法案に1人の無党派、7人の民主党が共和党に参加したため60票対40票で可決した。しかし、大多数の民主党上院議員は、60票で採決されるためには上院共和党は票が不十分であると予測していたが、ACAの補助金は12月末で期限切れになり、アメリカ人の保険料が大幅に上昇することを懸念した8人のリベラル系の議員は共和党に参加したのである。
メイン州を代表する無所属のアンガス・キング上院議員が交渉をリードし、オバマケアの補助金の延長が含まれない法案の可決を援助した。キング及び7人の民主党議員らは政府閉鎖によって「多くの人が苦しんでいる」と述べ、先に政府閉鎖を解除した後に、その補助金については論議するという共和党の作戦に妥協したのである。しかし、この投票だけでは政府閉鎖は解除されないので、包括的な継続予算案を可決する必要があるため、10日東部時間の午後もまだ閉鎖は続いているが、解除に近づいた状態である。他40人の民主党議員らは、オバマケアの助成金が含まれていない法案は、今後論議すると約束しても、共和党が多数派を占める議会ではその保証はないため、1人の無党派議員および7人の民主党が賛成法に投じたことに怒っており、民主党内で分裂が生じているようである。その多大な理由の一つは、トランプ大統領がACAを批判しており、今回も、オバマケアを自然消滅させるために、直接アメリカ人に他の医療保険を購入する援助を行うと語っているためである。民主党リーダーのシューマーは記者団に対し、医療保険に関する条項が欠けているため法案に賛成票を投じないと述べ、上院本会議でも、現状について異議を唱えた。
大多数の民主党が保証の確実性に懐疑的である別の理由は、共和党は今年早期の予算法案で、既にメディケイドを削減しているため、上院共和党議員らがオバマケアの助成金延長を含めなかった継続予算法案に投票できないと明白に述べているシューマーに他の民主党議員らは団結しているようである。この状況では、政府閉鎖は解除されても2026年からの医療費高騰の予測は続く可能性があり、現時点では数千万人のアメリカ人の不安を和らげる状況は見られない。この状況下で、民主党には二つのプラス要素がある。まず、医療費の削減を狙う共和党の政策には、圧倒的多数派の有権者が強く反対しているため、中間選挙では共和党にマイナスであるということである。11月6 日のカイザー・ファミリー財団の世論調査によると、94%の一般の民主党、無党派の76%、共和党の50%が「議会は期限切れとなる税額控除を延長すべきだ」と述べている。次に、上院共和党多数派リーダーのスゥーンはACA助成金延長の採決に移ることを約束しているため、民主党はこの問題で引き続き共和党リーダーと彼の同僚に圧力をかける可能性が増加したということである。既に11月4日のバージニア州、ニュージャージー州、ニューヨークの選挙結果は、2026年の中間選挙での影響をホワイトハウスが懸念し始めたことを示唆している。