欧州同盟はなぜ米国大統領の要請を拒否したか?

Photo credit : Energy Now. com

イランは既に、ホルムズ海峡航行中の貨物船を直撃しており、石油輸送を停止状態に追い込んだため、石油不足によるガソリンの価格が高騰し、米国が過去に経験したことのない世界最大の生産国である米国天然ガス価格の高騰も生じているとの論議の中で、ドナルド・トランプ大統領は、欧州同盟国に対して、ホルムズ海峡を開放するために軍艦を派遣するよう要請していた。しかし、大統領の要望に反する結果になっている。

イランはホルムズ海峡を通過する石油、ガスの貨物船を数回爆破した。これを受けて輸送は事実上、全面的に停止されているようである。ホルムズ海峡は、世界の石油供給に極めて重要な地点となっているが、欧州の指導者がその要請に応じていない注目すべき理由は米国およびイスラエルが先導したイラン戦争は、彼らが何も事前に知らされておらず、協議も相談も何もなかったことも一因である。加えて、どの国も中東全域に波及しつつあるこの危険な戦争に巻き込まれることを望んでいない。イラン戦争は、世界を不安定で緊張に満ちた暗雲の中に押し込んでいる。英国の首相キア・スターマーは16日、「我々自身および同盟国を守るために必要な措置は講じるが、より広範な戦争へと巻き込まれるつもりはない」と述べた。スターマーの発言は、戦争が深刻な状況の中で、イラン戦争に巻き込まれる意図は微塵もなく、その意味もないことを示唆した。

トランプ氏は16日にホワイトハウスでの記者会見で、米国は長年欧州大陸の安全保障を担ってきたにも関わらず、欧州各国の指導者たちは米国の要求に耳を傾けようとしないとの不安を漏らした。大統領は「忘れてはならない」ことは日本やドイツに「兵士を駐留させているという事実」があると述べた。「我々はこれらすべての国々を守っている。それなのに、いざ『掃海艇はあるのか?』と尋ねると、彼らは『いや、我々は関与せずに済ませることはできないものでしょうか?』と言う」と述べた。また、大統領はスターマー氏に言及し、「あなたは首相です。決断を下すことができるはずです。実に失望させられます」との不満を表明した。

ご承知の通り、イラン戦争は欧州が始めた戦争ではない。3月16日、欧州連合(EU)加盟27カ国の外相らは、トランプ大統領が援助を求めてプレッシャーをかけているため、イラン戦争の対応について協議するため、ブリュッセルで会合を開催した。ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は明確に、「我々はこの戦争には関与しない。それは初日から言い続けてきたことであり、今もなおドイツ政府の立場」は変わらないと明言した。「これはまた、戦争が続いている限り、ホルムズ海峡における航行の自由を確保するために、軍事的な手段を用いて関与することはないということも意味している」と付け加えた。

この外相会議後、EUの外務・安全保障政策上級代表のカヤ・カラス氏は加盟国がこの紛争に「積極的に関与」しようとする「関心は存在しない。これは、欧州の戦争ではない」と述べた。スペインのホセ・マヌエル・アルバレス外相は、「スペインの立場と外交方針は極めて明確である。すなわち、欧州もまたその同じ声で語らなければならず、それは緊張緩和、対話と外交、そして交渉のテーブルへの復帰を求める声でなければならない」と明言した。 フランスのエマニュエル・マクロン大統領の反応について、同外相は「(10点満点中)8点である。つまり完璧ではないものの、それに近いものだった」と評し、「(その反応は)助けになるだろう」と付け加えた。しかしブリュッセルに届いたパリからのメッセージは、フランス側としては、いわば「有志連合」のような枠組みへの参加を厭わないものの、それはあくまで当該地域の緊張が緩和された場合に限ると述べた。

最後に、ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ海峡であり、ペルシャ湾から外海へと通じる唯一の海上航路であり、何世紀にもわたり世界で最も戦略的及び歴史的に重要な地点の一つになっている。1526年から1857年まで続いたペルシャ帝国の初代皇帝バーブル時代に、アーモンドが市場に流通するためには、中央アジアの遠く離れたフェルガナ地方からホルムズまで運ぶ必要があった。ホルムズ海峡が歴史的にも如何に顕著な貿易地点であるかを示唆している。流通がここで遮断されているため、石油や天然ガスの供給に影響を受けているグローバル経済において、価格高騰が輸送費の値上げに繋がり、連鎖反応的にサプライ・チェーンが再度鈍る可能性がある。トランプ大統領は、この状況に明らかに葛藤していることを示唆しており、イランは自国の承認なしに通過を試みる船舶に対しては、攻撃を加えると威嚇するような戦略を用いており、この側面では、米国より有利な立場である。加えて、EU同盟国は、米国大統領が求めた要請を拒否したため、批評家の一部は、トランプ氏が同盟国を軽視するような態度を取り続けてきたことの結果であると指摘している。イランのこの卑怯な戦術により、世界の石油供給量の約20%が毎日遮断されていることになる。トランプ氏は、この戦争を何の意味もなく、「裏切られた」と表現している彼に投票した有権者の声に耳を傾けるべきである。そして、注目すべきことは、トランプ政権の情報機関担当高官であり、国家テロ対策センターの局長であるジョー・ケント氏は、イラン戦争への反対、およびイランを差し迫った脅威とみなすトランプ氏の評価に異議を唱え、辞職を17日に表明したことである。同氏は、トランプ氏のイラン政策に反対し、辞職した最初の高官である。

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