政府間の会談に富豪企業多数のCEOが参加するのはなぜ?

ドナルド・トランプ大統領は、今週後半に中国の国家主席である習近平と会談を行うため、12日に中国へ出発する予定であると言う。しかし、この会合には十数名の実業界のリーダーが参加するという。ホワイトハウスは11日、大統領に同行して北京を訪問するCEOの名簿を公開した。このリストの中には数ヶ月前にトランプ氏と和解したイーロン・マスクが含まれていると言う。大企業の富豪者らが参加する理由は何だろうか?

ニューヨーク・タイムスが入手し、11日に公開したリストによると、代表団は以下のようになっている。( )には英文企業名を記載。

ティム・クック(Apple)、ラリー・フィンク(BlackRock)、

スティーブン・シュワルツマン(Blackstone)、ケリー・オルトバーグ(Boeing)、

ブライアン・サイクス(Cargill)、ジェーン・フレーザー (Citi)、

ジム・アンダーソン(Coherent)、デビッド・ソロモン(Goldman Sachs)

ジェイコブ・タイセン(Illumina)、マイケル・ミーバック(Mastercard)

ディナ・パウエル・マコーミック (Meta)、サンジェイ・メロートラ(Micron)

クリスティアーノ・アモンQualcomm、イーロン・マスク( Tesla)、

ライアン・マキナニー(Visa)、

当ブログの調査によると、ニューヨーク市に本社を置くブラックロック(BlackRock, Inc.)は、アメリカの多国籍投資会社であり、世界最大の資産運用会社である。2025年時点で12.5兆ドルもの運用資産を保有し、世界30カ国に70の拠点を展開するとともに、100カ国の顧客にサービスを提供している。ニューヨーク市に拠点を置くアメリカのオターナティブ投資運用会社であるブラックストーン(Blackstone Inc.)のプライベート・エクイティ部門は、過去30年間にわたり、レバレッジド・バイアウト(LBO)における最大級の投資家の一つである。不動産部門は世界各地で商業用不動産の取得を積極的に行っている。コヒャレント(Coherent Corp.)は、光学材料および半導体の製造を手掛けるアメリカの企業である。カーギル(Cargill, Incorporated)は、穀物やその他の農産物を生産するアメリカの多国籍食品企業であり、大規模な金融サービス部門も有しており、同社自身の商品市場におけるリスク管理を行っている。 マイクロン・テクノロジー(Micron Technology, Inc.)は、コンピューター用メモリやデータ保存製品を製造するアメリカの多国籍半導体企業である。イルミナ(Illumina, Inc.)は、カリフォルニア州サンディエゴに本社を置くアメリカのバイオテクノロジー企業である。 クアルコム(Qualcomm Incorporated)は、アメリカの多国籍テクノロジー企業であり、次世代モバイル・ネットワーク、スマート・デバイス、そしてモバイル・プロセッサーや人工知能(AI)チップなどの半導体を含む、グローバルな通信およびコンピューティング技術の開発・設計を行っている。

合計15人の企業幹部がトランプ大統領と習近平氏との会談に参加するという。このリストの中に、イーロン・マスクが含まれているのは「世界一の富豪者である同氏が、大統領との関係を修復したことを示す最新の兆候」である。彼は2025年の上半期に、トランプ政権の側近として、「連邦官僚機構の抜本的な改革に向けた政権の取り組みを統括していた」が、「大統領との不和」により、昨年5月にホワイトハウスを去った。今回の代表団にマスク氏が含まれたことは、「ここ数ヶ月の間に両者の関係が修復された」ことを意味すると言う。なぜ、これほど多数の著名企業の富豪者がトランプ大統領の中国への旅行に同伴するのだろうか?ニューヨーク・タイムスによると、米当局者は、トランプ氏が中国側と投資委員会および貿易委員会の創設について協議することを望んでおり、代表団には幅広い業界のビジネス・リーダーが含まれている。しかし、ホワイトハウスは詳細に説明していない。

CFR(米国外交評議会)の報道によると、トランプ大統領と習近平主席は、5月14日から15日にかけて北京で会談を行う予定である。この首脳会談は、3月に米国とイスラエルによるイランへの攻撃が発生したことを受け、延期されていたものであった。今回の訪問は、トランプ大統領が第一期に就任した2017年以来、米国大統領による初の中国への公式訪問となる。今回の会談には、地政学的な緊張、特に貿易、台湾、イラン情勢、そして人工知能(AI)をめぐる問題が重くのしかかっている。一方、世界経済は依然として、ホルムズ海峡の封鎖や、米国と中国の間で、不安定な「貿易休戦」合意に起因する原油/ガス価格の高騰による影響を受け続けている。今回の首脳会談における注目点について、同機関は、2025年4月と10月にかけて、習主席が米国へのレアアースや磁石などの鉱物資源供給を制限したことで、北京に有利な緊張緩和を背景に、両首脳による会談では、主に4つの議題が焦点となると見られる。

第一は、経済に関する議題である。中国側の狙いは、自国の技術的・産業的基盤を固め、低迷する経済を活性化させるための「時間稼ぎ」をすることにある。一方、米国側の狙いは、中国の経済モデルに対する実質的な構造改革を促すことよりも、むしろ象徴的な成果を確保することにあると言う。第二の議題は台湾問題である。 2025年1月以降に行われたトランプ大統領と習近平国家主席の会談は6回に渡るが、トランプ大統領の発言は経済問題が中心だったのに対し、中国側の発言は台湾問題に重点を置くようになっている。中国の学者らは、北京は米国の政策表明の転換、つまり、台湾独立に明確に反対する声明を出すこと、そして武器売却に関する事前交渉を求めている。これらは米国の政策における大きな変化となる。第三の議題はイラン問題である。「中国政府はイラン政府に対し、政治的支援のみならず、諜報面での支援さえも提供している可能性があり、ドローン部品、防空装備、およびミサイルの供給再開を模索している恐れもある。第四の議題は人工知能(AI)である。2023年および2024年に開催された当時、バイデン大統領と習氏による首脳会談では、AIに関する実務者協議の立ち上げや、AIを核兵器の指揮/統制システムに組み込まないとする合意がなされた。今回の会談では、前政権のこれまでの成果を土台に、小規模ながらも具体的な成果の実現を目指すことになるという。

最後に、米国商務省は、外国政府との交渉や米国企業の海外でのビジネス獲得を後押しするため、代表団にビジネスリーダーおよび業界の代表者を含めることは一般的であるが、米国大統領による海外政府との首脳会談に15人もの民間の富豪大企業が同伴すると言う事例はほとんどない。従って、人数の制限が行われる可能性がある。民主主義を金権政治へと変質させるような公共政策を受け入れることはできないとして、高額な選挙資金を寄付したマスクが含まれているため、一部良い印象を与えていない。ジョー・バイデン大統領は、2025年1月の離任演説で、「危険な権力の集中」や、極めて裕福な層による「寡頭政治」の台頭が、アメリカの民主主義を脅かしていると警告した。選挙キャンペーンで、大金を湯水のように使った億万長者のイローン・マスクを名指しすることはなかったが、富裕企業の実力者たちが政府に影響力を及ぼすことで生じる「抑制の効かない権力」に対し、警鐘を鳴らした。また、ロバー・バロンと呼ばれた、歴史的に台頭した「強欲な実業家」やアイゼンハワー大統領が警告した「軍産複合体」の歴史の爪痕を警告した。しかし、参加企業のビジネスの性質を調査したところ、これら多くの企業は、技術、金融、産業分野で中国の国際経済政策に多かれ少なかれ影響を受けている可能性があることを示唆している。

アメリカ・ウオッチ- Yuko's Blogをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む