
ジェイミー・ラスキン Photo credit : Axios
今月19日に米国上院歳出委員会での公聴会で、司法省の長官代行を務めるトッド・ブランシュは、約18億ドルのファンドが作成されたことについて証言した。バージニア州東部地区連邦地方裁判所のレオニー・ブリンケマ連邦判事は29日、トランプ大統領が企画したこの大規模な納税者の税金による基金の設置を一時的に差し止める決定を下した。従って、この基金に関連する全ての措置は現在のところ禁止されることとなった。複数の州は基金受理者に対する100%の課税案を発表している。元憲法学者は、政権の「反武器化基金」が違法であるとする10の法的理由を提起した。この基金措置は、驚くほど多数の憲法および法律に違反していることを明白にしている。
この訴訟は、トランプ政権による党派的な報復による攻撃に直面していながら、同基金からの補償対象からは除外される可能性がある個人及び団体が提起したものである。同判事による差し止め命令は、議事堂警察官による訴訟も含めて、同基金の合法性を問う訴訟がワシンントンD.Cやカリフォルニア州を含む幾つかの州でも提起されている中で行われた。ブリンケマ連邦判事は、同基金の法的正当性に関連する係争中の訴訟について、6月12日に最初の審問が行われるまで、少なくともその期間、政府が基金の設立や給付金の支払手続きを行うことを禁止した。判事は、政権内での資金の移転、申請者の請求に対する審査、支払いに対する全ての措置を禁止した。
米国議会の大多数の共和党議員さえ、同基金の目的に対し公然と異議を唱えている。そして、この基金の性質は、政治的に盟友であれば犯罪者でも提供されるが、現大統領の政策に同意しない政敵に対しては、提供されない可能性もある。ブリンケマ連邦判事の一時停止は、他の州でも訴訟に発展している中で、最終的な判定が下されるまで、全ての措置を禁止している。加えて、人口の多いカリフォルニアとニューヨークに加えて、ペンシルベニア、コネチカットを含む複数の州では、2021年1月6日に暴力を振るった暴徒も含めて、犯罪者に褒美を与える可能性があるとされるこの基金の流れを阻止する為、「対兵器化基金」の受給者に対し、100%の課税を科すという案を提起している。つまり、基金を受理するために申請しても、一銭の利益もないのである。更に、米国下院司法委員会のメンバーで、元憲法学者のジェイミー・ラスキン氏は27日、下院司法委員会民主党のウェッブ・サイトに「対兵器化基金」が10の理由に基づき、完全に非合法であるとする新たなファクト・シートを公開した。
(1)憲法第1条に違反し、議会の歳出決定権を侵害する。17億7,600万ドルに上る連邦政府の「裏金」の創設は、連邦資金の歳出を決定する議会固有の権限を侵害するものであり、憲法第1条に違反する。17億7,600万ドルもの税金が裏金として流用され、大統領によって和解に至った訴訟とは何ら関係のない第三者への支払いに充てられることになる。(2)憲法第3条に違反し、司法権を簒奪するものである。連邦議会は、大統領および政権が任命した5名の高官に対し、「法戦」や「武器化」といった用語を独自の定義に基づいて解釈し、資金を分配する権限を付与してはいない。議会による授権が存在しない以上、この5名から成る基金は、法的「事件および争訟」を裁定する排他的権限を司法府に付与した憲法第3条に違反するものである。(3)第14修正条項による反乱者への支払禁止規定に違反する。1月6日の暴動に関与し有罪判決を受けた暴徒、反乱者、および扇動的な共謀者に対して補償を行う基金を設立することは、憲法修正第14条4項に違反する。同条項は「米国に対する反乱または暴動を支援するために生じた、いかなる債務または義務をも引き受け、あるいは支払う」ことはできず、また「かかるすべての債務、義務、および請求は、違法かつ無効とされる」と定めている。
(4)現職大統領が提起した訴訟の和解金として米国財務省から17億7,600万ドルを支出すること、それと同時に、未納の税金の免除を含め、大統領に対する刑事、民事、および行政上の調査を永久に封じることは「国内報酬条項」に違反する。憲法第2条第1項は、大統領がその公的な給与以外に「米国からいかなる他の報酬をも受け取ってはならない」と規定している。これは、アメリカ史上最大規模の「国内報酬」による不当な利益供与である。(5)IRSは他の訴訟において、第三者である政府請負業者の犯罪行為に対し、法的には責任を負わないと主張してきた過去の立場と矛盾する。そして、IRSの弁護士らは、全25ページに及ぶメモの中で、この点を明確に示していた。しかし、政治任命者たちは、トランプ大統領との間でその「見せかけの和解」を成立させるため、この決定を覆したのである。(6)IRSの弁護団が主張した通り、時効により提訴権を喪失している案件である。トランプ氏がIRSを相手取って起こした訴訟は法律違反が疑われる行為が発生してから2年以内という2025年10月までであった時効により提訴権を喪失している。(7)訴訟提起の要件として憲法が定める「事件および争訟」の原則に違反している。本訴訟は当事者間の共謀によるものであり、憲法の意味するところの「真の事件または争訟」には該当しない。従って、原告には訴えを提起する当事者適格性が欠如しており、また地方裁判所にも、本件を審理し判決する管轄権がそもそも存在しなかったことになる。
(8)トランプ氏とその関係者に対し、全連邦機関にまたがる異例の「スーパー恩赦」を付与するという、司法長官の権限を逸脱した行為である。ブランシュ司法長官代行には、ドナルド・トランプ氏、その家族、および関連企業に対し、未納の税金や罰金を含む「既知および未知」のあらゆる法律違反について、刑事・民事・行政上の責任を「永久に」一括免除するような権限は一切ない。(9)大統領によるIRS税務調査への干渉を禁じる連邦法に違反している。連邦法の下では、大統領が「IRSの役職員に対し、特定の納税者に対する税務調査その他の調査を実施または中止するよう、直接的または間接的に要請すること」は犯罪とされている。大統領本人、その家族、およびそれらの関係企業に対するあらゆる税務調査を、大統領との和解の一環として恒久的に打ち切るという行為は、この法律に対する直接的かつ明白な違反にあたる。(10)連邦犯罪を制定する議会の権限の簒奪、および合衆国憲法修正第1条・第5条への違反である。当該基金は、「法を武器とした闘争」や「権力の武器化」の被害者とされる人々を対象としている。これらは連邦法や州法において一切定義されていない用語であるが、どうやら「民主党選出の公職者による」権力の乱用という、特定の政治的視点に基づく概念を指しているようである。この支離滅裂で杜撰な「法」制定の試みは、連邦議会が持つ立法権と連邦犯罪の制定権を侵害するものである。こうした曖昧な用語の存在により、この「裏金」基金の運営者たちは、納税者から徴収した公金を、大統領に最も忠実かつ暴力的な支持者たちに対し、恣意的かつ無法、そして党派的な基準に基づいてばら撒く」可能性があるとしている。しかし、「これは、合衆国憲法修正第1条および第5条の双方に対する違反行為である」と論破している。
要するに、トランプ政権の「反武器化基金」は、スラッシュ・ファンドと呼ばれる裏金であるとされており、議会は「共謀」によるこの基金を認可する意図はないようであり、複数の訴訟も提起されている。元憲法学者のジェイミー・ラスキン下院議員は、トランプ政権のこの基金措置は、合衆国憲法修正第1条、憲法第2条第1項、憲法第3条、憲法第5条、憲法第14条、国内報酬条項、時効による提訴権の喪失、司法長官の権限逸脱行為、IRS税務調査への干渉を禁じる連邦法違反により、初めて徹底した非合法性について論破している。ラスキン氏は、これほどパワフルな論議を提供した最初の元法学者ということになる。政権の行為がどれほど前代未聞の違法性であるかを明白に示しているこれらの厳しいハードルを考慮すると、約18億ドルもの税金がトランプ政権内で移動する可能性はなく、州及び連邦における立法及び司法の両方から阻止される可能性は必然的に益々高くなる現状を示している。