‘Landmark’ pancreatic cancer drug keeps patients alive for twice as long
The Washington Post May 31, 2026
この記事は、膵臓癌治療薬による臨床試験結果が2026年5月31日に発表され、複数の医師らが、この錠剤タイプの薬剤が非常に難治性の致死的な疾患の治療に多大な希望を与えていることについて詳細に伝えている。幾人かの医師による強調点に注目する必要がある。
40年以上の歳月をかけて開発された膵臓癌治療薬ダラクソンラシブ(daraxonrasib)は、極めて難治性かつ致死性の高いこの癌(the most stubbornly lethal cancer)に対し、ついに突破口を開いた。この薬は患者の生存期間を延長させるだけでなく、標準的な化学療法を受けている患者の2倍もの期間にわたり、腫瘍の進行を抑制し続けることに成功した。 シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(the American Society of Clinical Oncology)年会の全体会議で日曜日の31日に発表され、同時にニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌にも掲載されたこの臨床試験の詳細な結果は、がん治療の分野においてここ数年で最も注目を集めていた(the most hotly anticipated)医学的成果の一つである。これまで患者に対して提示できる選択肢が乏しく、希望を与えることさえ困難であった腫瘍専門医たちは、今回の結果を「前例のない」「極めて説得力のある」「目覚ましい(compelling)」成果であると称賛している。
マス・ジェネラル・ブリガム癌研究所の肝胆膵腫瘍学プログラム・ディレクターであるハーシュ・シン氏は「これは、これまでの常識を完全に覆すものです(It really blows it out of the water)。実に画期的であり、歴史的な意義を持つ研究(landmark study)だと言えます。これはおそらく、私たちが膵臓癌治療において目にしてきた進歩の中で、間違いなく最大のものだと言えるでしょう」と語る。この錠剤を開発したバイオテクノロジー企業、レボリューション・メディスンズ社の科学者たちは現在、薬の効果をより長く持続させる方法を模索しており、それによって患者により多くの時間をもたらすことを目指している。しかし、今回の成功は細胞の増殖、分裂、および成熟を調節するラス(KRAS)と呼ばれるこれまで標的とするのが極めて困難とされてきた遺伝子(targeting a hard-to-hit gene)を狙い撃ちする治療戦略の有効性を如実に示している。KRASは癌を引き起こす遺伝子の中で最も頻繁に見られるもので、膵臓がんの症例の大部分に加え、一部の肺癌や大腸癌の発症を促進する主要因となっている。
今回の臨床試験には、すでに一度膵臓癌の治療を受けたが、その後病状が進行してしまった500人の患者が参加した。参加者は、治験薬ダラクソンラシブの錠剤を服用するグループと、従来の化学療法を受けるグループのいずれかに分類された。その結果、治験薬を服用したグループの生存期間中央値は13.2ヶ月に達し、化学療法を(chemotherapy)受けたグループの6.6ヶ月と比較して、2倍の長さを記録した。がん治療の有効性を測るもう一つの指標として、無増悪生存期間(progression-free survival)がある。これは、腫瘍が再び増大したり転移したりし始めるまでの期間を示すものである。今回の試験において、ダラクソンラシブは7.2ヶ月間にわたり腫瘍の進行を抑制し続けたが、化学療法による抑制期間は3.6ヶ月にとどまった。
レボリューション・メディシンズ社の最高経営責任者(CEO)マーク・ゴールドスミス氏は「当社の科学者たちは、規制当局に対し、逐次提出方式(rolling submission process)を通してすべての臨床データを迅速に提供できるよう、緊急性を持って作業を進めています。承認が得られ次第、直ちに本薬剤の商業販売を開始できる体制も整っています。私たちは、この瞬間のために長い間準備を重ねてきました。米国および世界市場で製品の発売を成功させるために必要となる、あらゆる側面での基盤(the various dimensions)作りを進めてきたのです」と述べた。今月初め、米国食品医薬品局(FDA)は、審査が継続中であるにもかかわらず、同薬剤へのアクセスを拡大する措置を講じた。この成功は、連邦政府の資金援助、慈善活動、そして民間部門(federal funding, philanthropy and the private sector)による支援に支えられた、数十年にわたる科学研究の成果である。米国国立がん研究所(NCI)在職中に、KRAS遺伝子が癌の原因遺伝子(a cancer-causing gene)であることを突き止めた科学者の一人であり、現在86歳のエドワード・スコルニック氏は「ヒトの膵臓癌における遺伝子変異(The mutation in human pancreatic cancer)は、私たちが50年近く前に発見した遺伝子と全く同一のものです」と語る。彼は「こうした基礎科学の研究は、現行の政府政策によって極めて深刻な脅威にさらされています」と述べた。
治験の一環として同薬剤の投与を受けている ニュージャージー州ランドルフ在住のヘレン・ルービン氏(83歳)は、患者の一人だ。彼女は2022年に膵臓癌と診断されたが、手術および化学療法による治療を受けることができた。しかし最近の定期的な画像検査で、肺にあった結節が肥大し始めていることが判明した。そこで彼女は2月から、ダラクソンラシブによる治療を開始した。当初、1日3錠の服用を続けたところ激しい嘔吐に見舞われ、ついには入院を余儀なくされたが、担当医の判断で1日2錠に減量することができた。彼女によれば、口内炎や指先のひび割れといった副作用はあるものの、化学療法を受けていた頃に比べれば遥かに体力が充実しており、これまでのところ画像検査の結果も良好だという。ルービン氏は「この薬による身体的な反応が全くないわけではありません。ただ、その影響はごく軽微なもので、日常生活に支障をきたすほど私を衰弱させるものではない(doesn’t debilitate me really much)です」と語った。
膵臓癌の治療に携わる医師たちは、極めて予後が厳しいとされるこの病気に対するこの新薬を治療革命の幕開け(the beginning of a revolution)として捉えている。現在、この薬は新規診断を受けた患者に対する第一選択薬としての有効性を検証する臨床試験の段階にあり、治療の初期段階で投与することで、さらなる治療効果が期待できるのではないかと注目されている。医師たちが現在注力しているのは、副作用への対処法である。発疹や消化器系の不調(a rash and gastrointestinal symptoms)など、この薬には頻繁に現れ、かつ重篤化する恐れのある副作用が伴うためである。 医師たちは、この治療法が癌を完全に根治させるものではなく、いずれは癌細胞が薬剤に対する抵抗性(cancer will become resistant to it)を得てしまうことを十分に認識している。しかし、同時に彼らは、この薬を他の治療法と組み合わせることで、より長期間にわたって治療効果を維持する(will provide longer-lasting responses)新たな治療戦略を確立する好機が訪れたと捉えている。膵臓癌研究の第一人者であり、ニューヨーク大学ラングーン・ヘルス傘下のパールマッター癌センター所長を務めるアニルバン・マイトラ氏は、メールの中で、「我々の手元には、患者さんのために、より効果的な併用療法を構築していくための素晴らしい土台(a wonderful foundation)がすでに用意されています。科学の力が、こうしたより効果的な併用療法の開発を牽引していくことになるでしょう。そして実際、その動きはすでに猛烈なスピードで加速し始めているのです」と述べた。
最後に、医師らは長年の開発期間を経て、膵臓癌の薬剤ダラクソンラシブにおける臨床実験が成功したことを最大の進歩であると表明している。いずれ癌細胞が薬剤の抗力性を超える可能性もあるものの、この薬剤を他の治療法と組み合わせることで、長期間にわたって治療効果を維持することが可能であり、従来の癌治療法である化学療法に比較すると、生存期間は二倍であるとの臨床結果を公開している。そして、特記すべきことは医師らが、現在の政権下での医療政策が医療科学の進歩に脅威を与えていると指摘している。それらは、大幅な医学研究費の削減による医療科学研究の後退、科学者の多量解雇、ウイルスに対するワクチンの取り組みに極めて消極的であるなどの問題で、アメリカ人の健康を脅かしているという。今年2月中旬にUSA Todayは大学労働組合の指導者らが、トランプ政権による保健医療研究への予算削減は、平均余命を縮め、全米国民の生命を脅かすことになると指摘したと報告した。ガーディアンは4月初旬、専門家らがトランプ政権発足当初に行われた基礎研究助成金を削減するという政策に一連の混乱、混迷、そして激動の事態を目の当たりにしていると伝えた。CBSニュースは4月下旬、国立衛生研究所(NIH)の予算を40%以上削減するというトランプ政権の計画案が、報道機関に流出し、保健福祉省(HHS)での解任劇やワクチンの安全性への疑問が生じていると伝えた。