ジョン・F・ケネディ・センターの運命はどうなる?

Photo credit: Capital Gazette

先週5月29日、判事はジョン・F・ケネディ・センターの建物の正面にドナルド・トランプ大統領の名前が追加された行為は違法であると判定した。この判定は本館正面の柱廊玄関に追加された18文字は除去する必要があることを示唆している。複数の訴訟が提起されている中で、5月29日の連邦判事の判定は、違法性を明白にしているが、トランプ氏の名前は除去されるだろうか?現在、ジョン・F・ケネディ・センターは緊迫した状況に直面している。

2013年から2023年1月までオハイオ州第3議会区を代表していた米国下院民主党議員ジョイス・ビーティー氏に提訴されたこの訴訟において、先週29日、ワシントン連邦地方裁判所のクリストファー・クーパー判事は、ジョン・F・ケネディ・センターに対し、建物の正面外壁に表記されたトランプ大統領の名前を削除するよう命じるとともに、同センターが今夏に予定していた改修工事のための閉館を一時的に差し止める決定を下した。 同判事は、94ページに及ぶ意見書の中で、「理事会が、同センターを正式にトランプ大統領の名を冠するよう改称し、かつ本館正面の柱廊玄関においてケネディ大統領の名と並べてトランプ大統領の名を掲げることを許可する決議を行ったことは、信託の条項および準拠法に違反するものである」と判定した。同判事は「ケネディ・センターは、ジョン・F・ケネディ元大統領にちなんで命名されるべきであるとする極めて明確な判定を下した。

更に、クーパー判事は「連邦議会は、理事会に対し、いくつかの責務を課している。」その責務の一群は、「プログラム関連の責務」、米国および諸外国の多種多様な舞台芸術を「提示」し、国内における舞台芸術教育、政策、およびプログラムの策定において主導的な役割を果たし、さらに「その他の市民活動のための施設」を提供しなければならない。理事会は、「故大統領を顕彰するための適切な記念施設を設ける」ことが義務付けられているほか、「諸国ホール」、「諸州ホール」、および「大統領記念施設として運営される国立舞台芸術センターにふさわしい方法で、かつ他の国立大統領記念施設と整合性のとれた方法で維持管理しなければならない。最後に、理事会には一般的な維持管理義務も課されている」と述べており、理事会は従来、大統領が指名するのではなく、議会が示し、議会が故ケネディ大統領を敬うために、「大統領記念施設」として建造されたものであり、連邦議会が監督の役目を担っていることを明白にしている。そして、ケネディ・センターにその名前を与えたのは連邦議会であり、それを変更できるのも「連邦議会以外にはあり得ない」と述べている。

クーパー判事は、「ケネディ・センターは、法的にはアメリカ国民に属する信託機関であり、理事会によって運営されている。議会は、理事会メンバーにコモンロー上の受託者としての通常の権限と義務をすべて付与しており、彼らは芸術プログラム、教育、政策、地域社会への働きかけ、そして暗殺された大統領の追悼に関する様々な法令上の指示を遂行するために、共同で活動している。理事会はまた、ケネディ・センターを良好な状態に維持しなければならない。 ケネディ・センター理事会は幅広い裁量権を有する。裁判所は、理事会がケネディ・センターをトランプ大統領にちなんで一方的に改名したことは、法定権限を逸脱する行為である」と結論付けた。 1964年、議会は意図的に「国立文化センター」を「ジョン・F・ケネディ舞台芸術センター」と改名した。 設立法の条文、構成、そしてその変遷を見れば、この施設の名称は明白である。 「議会はまた、センターの公共スペースに他の記念碑的な名称が付けられないよう、細心の注意を払った。冒頭で述べたように、ケネディ・センターの名称は議会が定めたものであり、変更できるのは議会だけである」と記述している。

トランプ大統領はソーシャル・メディアへの怒りの投稿の中で、この判決を激しく非難し、大統領が同センターの今後の方向性を自由に決定できないのであれば、「もはや希望のない旅としか言えないような取り組みを継続するつもりはない。残念なことに、クーパー判事や急進左派の人々は、トランプ大統領がこのセンターを誰もが誇りに思えるような存在へと変革させるくらいなら、いっそ死滅してしまったほうがマシだと考えているようだ」と書いた。しかし、裁判文書は、ケネディ・センターの理事会がトランプ氏の名前を同センターに冠することを決定した行為は、ケネディ大統領の暗殺を受け、「同センターの発展を促進する目的で、民間からの寄付金と同額を連邦資金から拠出する措置を講じる」など、連邦議会が全てを義務つけている1958年の法律、1964年に連邦議会が可決した法律、及び1994年に連邦議会が制定した「ジョン・F・ケネディ・センター改正法」に違反していることを明白にしている。

3月23日にも保存活動家や建築家を代表する8つのグループによる訴訟が提起され、トランプ政権による行動を差し止めるよう求めたものである。トランプ政権が2月にジョン・F・ケネディ・センターの改修工事を行うと発表したため、これらの団体は、歴史ある同施設が突然、大規模な改修や最悪の場合、取り壊しに直面するのではないかとの懸念に基づいているとワシントン・ポストが伝えた。この訴訟では、トランプ政権による史跡の取り扱いを争点とした過去の事例では用いられなかった「予期的解体」に関する主張も展開されている。訴状では、ホワイトハウスが承認を得ることなく、ケネディ・センターの外壁の柱を白く塗り替えたり、正面外観にドナルド・トランプ大統領の名を加えたりしたことで、同センターの設計における本質的な要素をすでに改変してしまったと主張されている。そして、こうした行為によって政権側は、プロジェクト全体に関わる許可や資金提供、および関連する承認の取り消しにつながりかねない違反を引き起こしたとしている。原告団の一員であるDC保存連盟のエグゼクティブ・ディレクターであるレベッカ・ミラー氏は、「ケネディ・センターは、特定のいかなる大統領にとっても個人的なプロジェクトなどではありません。それは、ジョン・F・ケネディを顕彰し、アメリカ国民に奉仕するために建設された国家的な文化記念碑です」と語った。

29日のクーパー判事の判定を受けて、トランプ氏が彼の名前を除去するかどうかについて、憶測が拡大している。つまり、除去するかもしれないし、建物を破壊するかもしれないという懸念も含まれる。同判事の判定後に、ソーシャル・メディアでは、歓声の声が上がったという。加えて、同センター理事会の職権上のメンバーであるジョイス・ビーティーは、30日のインタビューで判定を喜び、「これは法の支配にとっての勝利です。それはアメリカ国民に希望を与えるものです」と述べた。一方、トランプ氏は、差し迫っていた閉鎖を、少なくとも一時的に差し止める法的判断が下されていたにもかかわらず、「ケネディ・センターはまもなく閉鎖されるだろう。おそらく、二度と開館することはないはずだ」と書いた。その後、30日の遅い時間帯に投稿された別の記事の中で、彼は「今やケネディ・センターは、構造的にも財政的にも崩壊しようとしている」と述べた。

この事態に対し、ワシントン・ポスト紙の美術、建築、舞台芸術を専門とするピュリッツァー賞の受賞者フィリップ・ケニコット氏は、「つまり、トランプ氏は、今のところ理事長の座にとどまり、怒りを募らせているということは、祝賀ムードは時期尚早かもしれない。トランプ氏が今できる最悪のことは、何もしないこと、つまり理事長の座にとどまり、センターを放置することだ。予算や改修を承認せず、予定表を空にしたり、再建計画を水面下に置いたりするかもしれない。そうなれば、センターはインフラ整備週間や、トランプ氏が度々発表している新たな国民皆保険制度のように、永久に活動停止状態に陥ってしまうだろう。たとえ彼が辞任したとしても、理事会にはリーダーシップが必要であり、トランプ氏が解任したデイビッド・ルーベンスタイン氏のような資質と威厳を備えた人物を見つけるのは困難だろう」と述べている。更に、「つまり、クーパー判事の判決だけではケネディ・センターを救うことはできない。それをできるのは議会だけであり、議会がそれを成し遂げるにはトランプ大統領が道を譲らなければならない。しかし、トランプ政権2期目の歴史が書かれる時、ケネディ・センターを巡るこの悲惨な出来事は、大統領の混乱、残酷さ、そしてグロテスクな自己中心主義を理解する上で、また、極めて困難な状況下で抵抗し、粘り強く闘った人々の勇気と決意を理解する上で、重要な鍵となるだろう。トランプによるセンターの乗っ取りは、大統領の無謀な野心、前例、礼儀、象徴、そして非党派的な機関に対する軽蔑を早期に示していた。判決後の彼の怒りに満ちたメッセージは、これまで明白だったことを疑いの余地なく証明している。彼はセンターにも、芸術にも、文化にも全く関心を持っていなかった。彼にとって重要なのは、自分自身、自分の名前、自分のブランドだったのだ」と書いている。

最後に、ケネディ・センターは米史上、トランプ大統領による干渉による混沌に直面した最初の米国市民に属する文化施設となった。ワワシントン・ポスト紙のコラムニストであるフィリップ・ケニコット氏は、クーパー判事の判決は、完全な援助にはならないと警告した。そして、トランプ氏は、本館正面の柱廊玄関に追加された彼の名前を除去する可能性はあるが、センターの理事長として残り、トランプ氏がソーシャル・メディアに書いたように、今後開館されず、センターを完全に閉鎖したままに残すか、または「構造的にも財政的にも崩壊」する可能性があることを示唆した。とは言え、恐らく、ホワイトハウスのイースト・ウイングを就任早々に取り崩したような事にはならないかもしれない。なぜなら、もしそれが起きれば、ケネディ大統領の歴史は抹殺されたことに等しく、保存活動家や建築家を代表する8つのグループのような人々の激怒は現在のトランプ氏の怒りの何十倍にも相応するものとなり、大統領は法的にも多大な混沌に陥る危険性がある。現在の状況は、非常に緊迫しており、共和党多数派の議会は今こそ、立ち上がる時が来ている。

アメリカ・ウオッチ- Yuko's Blogをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む