今回の和平への停戦合意は確実か?

米国とイランはいずれも具体的な合意条文を公表していないが、14日に和平に向けた停戦の合意に達したという。この発表は、米国とイランが60日間の停戦およびホルムズ海峡の通航再開を含む枠組みに合意したということである。今週19日、米国大統領とイランの指導者はスイスの都市ジュネーブで公式に署名するという。イスラエルが先導しているレバノンでの戦闘は、米国とイランとの合意には関係なく続いている。

停戦の合意に達したという話はこれまで数回繰り返し、聞かされているため、15日の報道の確実性は不明であるが、2月28日に開戦して以来、トランプ大統領が目指していた「イランの軍事能力の破壊、核開発計画の放棄、神権政治体制の打倒、そして国民の解放を達成することには至ってない」中での合意である。しかし、この合意によって、ホルムズ海峡が完全に開放され、船舶が戦争前の自由な状況に戻る場合、ガソリン価格の高騰は徐々に緩和される可能性がある。しかし、それは今後数ヶ月かかると予測されている。しかし、ホルムズ海峡の開放における通行料に関しても、トランプ氏の主張とイラン当局の主張には微妙な違いがあることを示唆している。

ニューヨーク・タイムスによる15日の報道によると、米国・イランとの仲介役を務めてきたパキスタンは、19日にジュネーブで合意文書への正式な署名式が対面形式で行われると発表した。その後、より包括的な和平合意に向けた60日間の交渉期間が始まる。 合意が破綻する可能性は依然として残っており、交渉は複雑なものになると予想されている。 イランのアッバス・アラグチ外相は15日、交渉では双方が妥協に消極的な二つの問題(対イラン経済制裁の緩和とテヘランの核開発計画の制限)が焦点になると述べた。さらに同外相は「約束が破られてきた過去の経緯」が交渉をより困難なものにする可能性を指摘した。

トランプ大統領が公的に述べている合意は、(1)世界のエネルギー供給の要衝であるホルムズ海峡での石油タンカーの安全な通航が再開され、米・イスラエルによる対イラン戦争が引き起こした問題の一つが解決される。(2)海峡の通行料が「恒久的に無料」になるという。しかし、タイムス紙によると、「イラン外務省のエスマイル・バガエイ報道官は15日、海峡を通過する船舶に『提供されるサービスへの対価』として、イランが料金を徴収する可能性があることを示唆した。通行料に関する合意には、それぞれの主張に微妙な相違があることを示唆している。米国とイランの双方の話は矛盾している場合があり、どこまでが合意なのか引き続き明白ではない。

米国を代表し、交渉を担当している副大統領J. Dヴァンス氏は15日、CNBCの番組スクウォーク・ボックスとのインタビューで、「我々は、この海峡が長期的には通行料無料で開放されることになると見込んでおり、そうした点について、今回の技術的な協議を通して詰めていくことになるだろう」と語った。CNBCの15日の報道によると、ヴァンス氏は、イランが保有する高濃縮ウランの処分方法など、「詰めるべき非常に重要な詳細が数多くあります。実際に膝を突き合わせて話し合い、こうした詳細について今後の進め方を決めていくつもりです」と語った。イランの国営メディアは、「ホルムズ海峡が60日間にわたり通行料無料で開放されるとしている。イランのタスニム通信は、その期間終了後は、イランとオマーンが同海峡を管理することになる」と報告した。

要するに、今回発表された合意は、米国・イランの両国が、海上封鎖の解除に合意したということである。完全な終戦の合意に至るには、多くの問題を具体的に詰めていく必要がある。また、60日後にはイランとオマーンが同海峡を管理することになるという。ホルムズ海峡を管理する権利があるのは地形学的にはオマーンも含まれるからである。地図上ではオマーン領土の上部はホルムズ海峡に面しており、イランとオマーンはホルムズ海峡を挟んで位置している。しかし、米国とイスラエルが主導した対イラン戦争を終らせるため、イスラエルは米国とイランの協議や交渉には「直接関与していない」ため、これまで、米国とイランの間で和平の交渉中及び合意の発表時でもイスラエルがレバノン(ベイルート南部)で、爆破を含む軍事作戦を繰り返し続けてきた。イスラエル当局は、同国がいかなる外部の合意にも拘束されないとの立場を維持しており、イスラエルの首相ベンヤミン・ネタニヤフはレバノン南部で制圧した地域からイスラエル軍が撤退することはないと明言し、レバノンを含むすべての戦線での軍事作戦の即時停止に反対している。同じく、地形的にイスラエルはレバノンに近いため、安全保障の重要性を強調している。

交渉が行われた14日でさえ、イスラエル軍はベイルート南郊を攻撃したため、少なくとも3人が死亡、15人が負傷したと報告されている。米国とイランがどのような合意に至っても、イスラエルによるレバノンでの空爆を含む軍事作戦は続いているようであり、トランプ大統領は、レバノンでの攻撃をやめるようネタニヤフを説得する事はできないようである。事実、トランプ大統領は、ネタニヤフ首相がレバノンでの紛争を続けているため批判しており、ヒズボラへの攻撃を停止させようとする米国の動きに抵抗しているイスラエルと米国間には激しい対立がある。これは、米国とイスラエルが合同で開始した対イラン戦争の因果である。米国とイランとの多大な違いは、米国民がイランとの戦争を早急に終えることを望んでいる一方で、イスラエルの多くの人々は、レバノンの民兵組織ヒズボラを含むイランおよびその同盟勢力の敗北を求めている。長年米国がイランを攻撃することを望んでいるイスラエルは、自国の安全保障やイラン核兵器計画を阻止することをゴールとしているとされるが、1996年に台頭した影響力のあるネタニヤフ首相は、彼の政治生命を維持するための個人的理由もあると見られている。イランにとって、ネタニヤフは悪夢的な存在と見られている。

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