郵送小切手の盗難事件による被害が激増

金額欄に隙間がない正しい例 Photo credit : USPS Certified Mail Labels

米国では、郵送される小切手の盗難により、金額や受取人の名前を改竄する技術を用いて送り主の銀行からお金を引き出す詐欺事件が増加している。私は今年早期に、そのような被害が特定の州で数年前に頻繁に発生していたことに気づいていたため、4月米国の家族の二人にそれぞれ、チェックを郵送した数日後に、郵便受けを入念にチェックするようテキスト・メッセージを送った。最近、カリフォルニア州の夫婦は、内国歳入庁(IRS)に郵送した1万ドル以上の小切手が一年前に盗まれたことを発見した。その後調査を行い、犯人は同じ銀行名の利用者であり、自身の口座に入金していたことを発見した彼らは、ワシントン・ポストのジャーナリストに援助を求めた。彼女の支援により、その夫婦が盗まれた金額を取り戻すという稀な体験を報告している。彼女の記事は、この物語に留まらず、有益な情報を提供している。

郵便受けから封書を盗み、小切手に記載された金額の数字や受取人の氏名を抹消し、金額を増加し、受取人の名前を自分の名前に書き換えるという操作を行うことで、小切手の送り主の銀行からお金を盗むという詐欺行為は犯罪組織によるものである。今年早期に、このような犯罪について、当ブログが調査したところ、2021年に発生した郵便物盗難事件の一つは郵便局の作業員によるもので、裁判にまで発展した。そして、ほぼ同時期に、郵送による小切手支払いを行う人々が多いと見られている南部州の多くの地域では、投函した封書が盗まれるという事件が次々に発生した。しかし、私の家族は文字や数字を消すことが出来ないジェル製の特殊ボールペンを20年以上利用している。幸い、郵便物が盗まれた経験はないものの、万一の場合に備えて、2021年から犯罪組織の標的になっている州の一つに住む二人の家族に連絡したのはつい最近の事であった。

6月17日、ワシントン・ポストのジャーナリストであるミッシェル・シングレタリー氏は、こうした「組織的な郵便犯罪」が今年大幅に増加していることについて報告している。「連邦捜査局(FBI)と米国郵政公社(USPS)による共同の警告によると、小切手詐欺が急増している。連邦政府のデータでは、小切手詐欺の報告件数は2021年の35万件から2022年には68万件へと、ほぼ倍増したことが示されている」と報じている。驚くことに、このような犯罪は2010年には既に始まっていたようだ。「郵便警察官協会のフランク・アルベルゴ会長は昨夏、下院小委員会での証言において、2010年には2,200件余りだった大量の郵便物を狙う窃盗事件は2023年に49,000件に急増し、『2,000%もの爆発的な増加』を記録したと証言した。事態は深刻化している為、FBIとUSPSは、電子小切手やACH(自動決済機関)による自動支払い、その他電子決済やモバイル決済の利用を検討するよう推奨している。」

小切手郵送で毎年税金の支払いを行なっているカリフォルニア州の匿名の夫婦は、最近「米内国歳入庁(IRS)から、四半期ごとの納税を怠ったため、12,000ドルに加え、利息と延滞金を支払うよう通知が届いた」後に、封書が盗まれたことを知り、期限通りに支払いを済ませていたと認識していたため、ショックを受け、当惑したと匿名でポスト紙に語った。妻は「チェイス銀行のオンライン明細を確認したところ、小切手は確かに決済されていました」とメールに記述した。しかし、「決済済み小切手のスキャン画像を確認したところ、受取人を指定する欄が書き換えられており、受取人であるIRSの名前が消され、個人の名前に変更されていることが判明した。」事態を把握したカリフォルニア州の夫婦はチェイス銀行に連絡を取ったがたが、「不正利用の報告期限を過ぎている」と告げられた。「その小切手は1年も前に盗まれ、すでに入金されていたのである。それでも夫婦は諦めずに調査を続け、その小切手が別のチェイス銀行の顧客によって入金されていたことを突き止めた。」妻は、「この取引において銀行には過失があり、私たちは返金されるすべきであると考えています。」60日という期限の有無にかかわらず、「十分に正当性を主張できるはずです」と語った。

ポスト紙の筆者シングレタリー氏は「 彼らは私に助けを求めてきました」 と述べている。そして、「チェイス銀行が当初示した拒否の対応は、法的には正当なものでした。不正利用の報告や資金の回収に関する期限は、主に銀行との預金契約や統一商事法典(UCC)によって定められています。その期限を逃せば、通常、顧客自身が責任を負うことになるからです。しかし、詐欺被害がこれほど蔓延している現状を鑑みれば、たとえ銀行側に法的な落ち度がない場合であっても、金融機関は誠実な対応をとるためにあらゆる努力をすべきでしょう。私がこの件について問い合わせたところ、チェイス銀行は状況を再調査しました。その結果、盗まれた資金が送金された先の不正口座を特定することができました。さらに、その口座には約11,000ドルが残っており、被害に遭った夫婦への返金を概ね全額賄えるだけの金額があることも判明したのです。この夫婦は非常に幸運でした。多くの場合、顧客や銀行が詐欺に気づいた時点では、すでに資金はどこかへ消えてしまっているからです」と述べている。チェイス銀行の広報担当者ジェリー・ダブロウスキー氏は電子メールで、「この問題を解決できたことを嬉しく思います。小切手を郵送することを避け、電子取引など、より安全な支払い方法を利用することをお勧めします。やむを得ず小切手を使用する場合は、支払いが適切に記録されているか、毎月の利用明細を確認するようにしてください」とアドバイスしている。

「この夫婦にとっては勝利と言える結果でしたが、私たち全員にとっては警告でもある」と述べた同氏は「こうした被害は、個人の小切手帳に限ったことではありません。金融犯罪取締ネットワー(FCEN)によると、詐欺師たちは企業の支払い、税金の還付金、さらには社会保障給付や失業手当といった政府の支援プログラムに関連する小切手も標的にしています。 政府からの税金還付金が盗まれ、換金されてしまった場合には、その盗難を報告するための手続きが用意されています。しかし、個人の小切手が盗まれた場合、その被害を回復するのははるかに困難になる可能性がある」と指摘している。さらに、改ざんされた小切手の決済が通ってしまう主な理由について、「現代の銀行の処理システムは自動化と迅速性を重視していること、化学薬品による染みや変色、あるいは署名の筆跡と受取人欄の記載との不一致といった改ざんの痕跡について、人の目による確認が行われない限り、不正な小切手であっても決済が成立し、資金が直接犯人の手に渡ってしまう恐れがある。それでもなお小切手を利用する場合は、FBI(連邦捜査局)や米国郵政公社(USPS)が推奨する以下の対策を参考にする」よう奨励している。

郵便物を保護するためには、(1)一晩中郵便受けに放置するのは絶対に避けて、郵便物を可能な限り、早く回収する。また、無人の自宅郵便受けに郵便物を放置することも避ける。(2)旅行などで家を空ける場合は、郵便局の「郵便物預かりサービス」を利用する。(3)小切手が入っていることが外から見えないよう、セキュリティ封筒を使用する。(4)差し出す郵便物は、郵便局の窓口や局内のポストへ持ち込むこと。どうしても屋外の青い郵便ポストを利用しなければならない場合は、その日の最終集荷時刻を過ぎてから小切手を投函しないこと。更に、小切手を守るためには(1)小切手を記入する際は、消えにくく改ざんできない黒のジェル・インクを使用する。一般的なボールペンのインクは簡単に洗い流されるが、この特殊なインクは紙の繊維に入り込むため、消すことは不可能である。(2)受取人や金額を記入する欄に余白を残さないこと。余白があると、そこに文字や数字を書き足される恐れがある。(3)オンラインで銀行口座の残高を確認するだけでなく、決済済みの小切手の画像も実際に確認し、受取人名が書き換えられていないかチェックする。(4)オンライン銀行の利用履歴をこまめに調べ、すべての取引内容に不審な点がないかを確認する。(5)自分で振り出した小切手の決済に通常より時間がかかっている場合や、身に覚えのない資金の減少に気づいた場合は、直ちに銀行へ連絡する。(6)微細文字、透かし、あるいは漂白剤やアセトンに触れると変色・滲みが生じる特殊紙など、セキュリティ機能が施された小切手を利用する。

最後に、セキュリティ封筒は郵便物を保護するために設計されており、内側には青や黒の網掛け模様など、不透明なパターンが施されており、光にかざしても中身が透けて読めないようになっている。通常、米国の文房具店または大手のストアーで購入する白の封筒の外箱には“Security Envelopes”と記載されている。私は小切手を守るための上記(1)と(2)については、20年以上、この対策に従っている。(6)については、多くの銀行は「セキュリティ機能が施された小切手」を発行しているため、ほとんどの米国住民はそれを利用していると思われる。近年、巧みな犯罪から自身を保護するのは、多様な側面から被害者になることを防ぐための努力が必要であり、自身の責任であることを改めて考えさせられる。FBI、米国郵便監察局、金融犯罪取締ネットワークなどの機関は、大規模な組織犯罪ネットワークを特定したとの説もあるが、小切手の利用が廃止された訳ではない為、犯罪組織も絶滅した可能性もないようである。そして、68万件の詐欺の犯罪者が逮捕され投獄されたとの報告もないので、油断は出来ないことを認識する必要がある。

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