今年11月3日の中間選挙はどちらの党が議会を支配するかという点で、ワシントンの政治家にとって政治生命の存続を左右する重大な結果となります。しかし、複数の専門家は、複数の州で、共和党有権者が投票参加の意欲がなく、中間選挙で投票しない可能性があると指摘しています。なぜ、共和党有権者は投票する意欲を失っているのでしょうか?
この状況を報告したワシントン・ポスト紙が7月26日に伝えたところによると、共和党の世論調査や政治団体の関係者は、11月3日に中間選挙が迫っているにも関わらず、「党の支持基盤に活気がなく、士気が低下していることに強い懸念を抱いている」との事です。これは、世論調査、戸別訪問、過去の予備選での投票参加関連の悲観的なデータに基づいているもので、共和党関係者に不安が広がっているようです。通常、中間選挙に参加する率は大統領選より低い傾向があるという慣例がありますが、「ドナルド・トランプ大統領の支持率が低迷している」ことに加え、大統領側の党は、「中間選挙で議席を減らすのが通例であるという事情もあり、共和党にとって今回の中間選挙は、いずれにせよ厳しい戦いになることが予想されていたからです」と言います。
共和党の著名なチャールズ・コーク氏が設立した保守系スーパーPAC(政治活動委員会)のアメリカンズ・フォー・プロスペリティ(AFP)アクションの分析によると、「共和党の強固な支持層であり、過去4回の予備選と総選挙のすべてで投票してきた最も熱心な有権者の間にも、ある懸念すべき動きが広がっている。この新たな問題は、トランプ氏を支持しつつも中間選挙では投票を見送ることが多い「投票頻度の低い支持者」をいかに投票所に足を運ばせるかという、同党が長年抱える課題にさらに追い打ちをかけるものがある」と伝えています。AFPアクションの事務局長ネイサン・ナシメント氏は、「11月の選挙において、共和党の確実な支持層である有権者の約5人に1人(20%)が『離反』するリスクを抱えていると言います。
ポスト紙によると、同団体が世論調査や戸別訪問による大規模な働きかけを通して収集したデータでは、アイオワ、オハイオ、ノース・キャロライナ、モンタナ、ニューハンプシャー、ミシガン各州の共和党有権者たちは、投票を棄権する可能性を示唆したり、あるいは民主党候補への投票を検討したりしているといいます。彼らが主に懸念しているのは、インフレや経済情勢です。」ナシメント氏は 「これは無視できない大きな割合です。恐ろしい数字と言えます」と述べ、全ての選挙で投票するという共和党支持層は民主党より少ないと示唆しました。確かに、7月18日に公開されたワシントン・ポスト/イプソスの世論調査では、中間選挙で絶対に投票すると答えた共和党有権者は45%でしたが、民主党有権者は53%でした。
なぜ、共和党支持層は中間選挙への意欲を失っているのでしょうか?その鍵を握っているのは、他の誰でもない米国大統領だと思います。先週、大統領執務室でトランプ氏と会話したノース・ダコタ州の米国上院共和党議員ケビン・クレイマー氏は、トランプ大統領こそが「自身の支持層を投票に向かわせる鍵であると伝えた」と述べました。トランプ大統領は2024年の選挙キャンペーンで、国内外における多数の公約をしました。そして勝利を果たし、就任後から18ヶ月が経過した今日、その公約の中で最も重要な課題に対する努力はなされていないため、実際に影響を受けているトランプ支持者は、投票参加の意欲を失っていると言います。以下、公約が果たされていてもいなくても共和党支持者が投票意欲を失う可能性がある現状を見てみましょう。
公約に従っている課題と現状
関税政策:関税では国内製造業を保護するため、外国からの輸入品に対して一律で高い関税を課すことを公約しました。トランプ氏の最初の関税は法律違反として米国最高裁が廃止しました。しかし、それから約5ヶ月後に60カ国に対して10%または12.5%の罰則的関税を課すと発表しました。しかし、関税は消費者が購入する値段が増加する為、実際にはトランプ大統領の支持層も経済的に影響を受ける政策です。
移民問題:地方警察、州兵、連邦軍を動員し、米国史上最大規模の不法移民の強制送還を実施すると約束しました。実際に、文字どおりの活動は続いていますが、2025年当初から、米国市民と結婚した合法的移民がエルサルバドルに強制送還され物議を醸し出しました。ご承知の通り、今年ミネアポリスでは2人の白人の米国市民が連邦捜査官らに射殺されました。最近、テキサス州では標的ではなかった移民がICEの銃撃を受け死亡し、メイン州でも合法移民が射殺されました。現在、米国市民さえ簡単に射殺されるという現状には共和党支持層でさえ、難色を示しており、これまで報告された複数の世論調査ではトランプ政権の移民政策を支持しない率は支持する率を超過しています。
公約が果たされていない課題と現状
経済政策:インフレーションを終息させ、物価を引き下げるという公約は、現在全く逆の現象を示しています。そして、電気料金を50%削減し、日用品を再び「手頃な価格」にすると誓約しました。しかし、トランプ氏は「手頃な価格」の表現は「でっちあげ」であると述べました。これは、完全に異なる態度であることを示しています。
生誕主義市民権:不法滞在の親から米国で生まれた子供に自動的に市民権を与える措置を、大統領令によって廃止すると公約しましたが、これは現実的には憲法を改正しないとできませんので、米国最高裁が却下しました。この政策を支持していたトランプ支持層にとっては多大な失望の一つとなりました。南部国境に壁を建設する計画は一貫した公約の一つであり、2017年1月20日からの第一期目に約25%は建設されましたが、資金をめぐる対立や、民有地の取得に伴う法的問題などにより二期目もまだ達成には至っていません。
外交政策:新たな戦争による軍事紛争への関与を避けると公約しましたが、現在イランでの戦争は、停戦どころか、紛争は激しくなっており、公約とは程遠いものとなりました。この戦争はMAGA支持層さえ反対しています。ロシア・ウクライナ戦争:ロシアとウクライナの戦争を24時間以内に終わらせる交渉が可能だと公約しました。しかし、大統領は両国が妥協しないため、非常に困難であると述べ、その公約はほど遠いものになりました。
要するに、経済、移民問題、戦争は中間選挙で最も重大な課題となっています。最近、選挙専門家または共和党議員らは、トランプ政権のこれらの重要な政策に不満のある共和党有権者が、所属党を変える可能性はないにしても、11月3日に投票せず、自宅に滞在するため共和党の投票率は低くなるとの世論調査に懸念を示しているということです。トランプ大統領は政権発足当初から、ジェリーマンダー(任意的選挙区割り図)を促進し、米国下院議会で2月に可決したSave America法を上院議会が採決するよう求めていますが、中間選挙で勝利の鍵を握るのは大統領です。また、その大統領の政策を支持するか又は支持できないと考えている有権者次第です。州共和党議員らが、どれほど強力なジェリーマンダーを作成しても、共和党有権者の20%が投票する意欲を失い、実際に投票しない場合、勝利することはほとんど不可能です。また、現在のSave America法を可決する可能性はありませんが、仮に可決したとしても、誕生証明の文書を入手する困難性は両党の有権者が直面しますので、同法案は、一方の党派だけに有益なものであるとは言えません。加えて、超党派の政策センターの2026年7月17日の報告によると、2025年8月の時点で、有権者の市民権を確認するための2025年における米国移民局(USCIS)の「受給資格に関する外国人組織的確認プログラム」の対象となったケースのうち非市民と判定された事例は極わずかです。米国市民は96.31%であり、記録を発見できず、追加情報や確認が必要な非確定的な率は3.12%、死亡は 0.53% 、非米国市民はわずか 0.04%でした。