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米国上院議会は土曜日(8月8日)深夜にトッド・ブランシュ氏を50対49票で、米国司法省の長官として認可しました。ブランシュ氏が認可された背景には、ルイジアナ州の米国上院共和党議員ビル・キャシディ氏の1票が彼の運命を左右すると言えるほど、劇的な状況があったことはご存知の通りです。賛成票に投じたキャシディ氏は、ブランシュ氏がトランプ大統領に対するテコの作用をすると述べていました。つまり、不法な要請やプレッシャーに対して、ブランシュ氏は「ノー」と言えると信じていると示唆しました。しかし、キャシディ氏のその判断は、再度試されることになるでしょう。
トッド・ブランシュ氏はどのような経歴のある人物でしょうか? ブランシュ氏はカナダ人のホッケー選手であった父のリチャードと看護婦の母との間に1974年8月6日、コロラド州デンバーで生まれ育ちました。父のリチャード氏は、自宅の地下室で宗教団体の集会を主宰し、近隣住民からの苦情を受け、同団体は土地利用規制違反で告発されました。リチャード氏は法廷侮辱罪に問われましたが、判決を不服として控訴すると宣言した後、コロラド州最高裁判所は、彼に不利な判決を下しました。この事件をきっかけに、ブランシュ一家は1987年にフロリダ州ゲインズビルへ移住しました。ブランシュ氏は1994年にアメリカン大学を卒業し、ニューヨーク州南部地区連邦検事局でパラリーガルとして勤務する傍ら、夜間はブルックリン法律学部で学び、2003年に卒業しました。また、アメリカ・カトリック大学で生物学を専攻していたクリスティンと結婚し、二人の子供がいます。
ブランシュ氏はコロンビア特別区連邦検事局でインターンを経験後に正規職員として採用されました。また、ニューヨーク州南部地区連邦検事局の暴力犯罪課で8年間勤務したブランシュは、元選挙対策本部長のポール・マナフォート氏や、ルディ・ジュリアニ元ニューヨーク市長の側近であるイゴール・フルマンの弁護を務めました。2017年には、法律事務所で働き、2023年4月、トランプ氏の注目度の高い刑事裁判で、ストーミー・ダニエルズ氏への「口止め料」の支払いを隠蔽したとされる裁判での弁護人として、トランプ氏に雇用されました。ブランシュ氏は2024年の刑事裁判でトランプ氏の弁護を主導し、その後、機密文書や選挙妨害に関する事件でもトランプ氏の弁護を担当しました。2024年11月、大統領選挙に勝利した次期大統領トランプ氏はブランシュ氏を司法副長官に指名すると発表しました。ブランシュ氏は2025年3月から米国司法副長官を務め、同年5月から議会図書館長代行も担当しました。司法長官パム・ボンディ氏が解雇された後、2026年4月から米国司法省の長官代行として務め、米国上院議会は8月8日、公式にブランシュ氏を司法長官として任命しました。
ワシントン・ポスト紙の司法省とFBIを担当している記者ジェレミー・ローバック氏が伝えたところによると、トランプ大統領の元刑事弁護人であるブランシュ氏が就任した直後に直面するものは、各方面からの多大なプレッシャーであるということです。今後司法省を率いるブランシュ氏は、「政敵を裁判にかけることに執念を燃やす大統領、そうした動きに対して懐疑的な姿勢を強める連邦司法当局、そして上司である大統領に対して「ノー」と言えるのか疑問視する声が強まっている共和党主導の議会―これら三者からの相反する圧力に直面することになる」可能性があるということです。また、「過去1年半の間に、ホワイトハウスからの伝統的な独立性が失われる中、司法省の公務員たちは、解雇や離職、士気の低下によって深刻な打撃を受けてきた。その一方で、同省が抱える課題は増える一方である。詐欺、不法移民、暴力犯罪の訴追に向けた取り組みを強化しつつ、大統領が要求する政敵を対象とした広範かつ政治色の強い捜査も進めなければならないからである」とローバック氏は指摘しています。先週、上院での承認手続き前に、記者団の取材に応じたブランシュ氏は、こうした課題や、トランプ氏の期待に応えることの難しさを認め、「承認された場合に何が待ち受けているか、私が何も分かっていないわけではありません。トランプ大統領が、この国を安全にする為に同省に何を期待しているかについて語る際、国民はそれを私への脅しや警告のように捉えるべきではないと思います。大統領はこの国が安全であることを望んでいるのですから」と語りました。
しかし、その発言は、米国上院議会、特にキャシディ氏がトッド・ブランシュ氏は大統領の理不尽な命令に従うことよりも、法律を遵守する人物であると示唆したというそのような期待に応える意思があるかを明白にしていません。むしろ、彼は引き続きトランプ氏を擁護する可能性が強いことを示唆しています。ローバック記者によると、「フロリダ州の検察当局は数ヶ月にわたり、民主党大統領の政権下での元高官らを対象とした捜査を進めており、その対象にはオバマ政権下で元CIA長官のジョン・ブレナン氏も含まれている。」ブレナン氏を調査しているトランプ氏の支持者は、彼が「大統領としての地位を揺るがす工作を通して、トランプ氏の公民権を侵害する長期的な計画に関与したと主張しているが、ブレナン氏はこの疑惑を否定している。トランプ氏の支持者らはこれを『巨大な陰謀』に関する捜査だと主張している。トランプ氏のこうした捜査への関与について、議員らから懸念の声が上がる中、ブランシュ氏は、司法省の業務に介入するトランプ氏の権利を繰り返し擁護してきた。これは長年の慣行から大きく逸脱するものである」と言います。ブランシュ氏は先週、記者団に対し、「ある事件について起訴するか否か、あるいはすでに起訴したかどうかを話し合うことは何ら問題ありません。私はその点について懸念は抱いていません」と語りました。つまり、司法省の独立性の意識はトランプ氏と同様にほとんどないことを示唆しました。そして、「同省の捜査官らは、2020年の選挙は『盗まれた』とするトランプ氏の未立証の主張や、同氏の2期目の政策に反対する広範な左翼の陰謀が存在するという主張、さらにはジェイムス・コミ元FBIのディレクターを含む同氏の批判者たちは投獄されるべきだとする主張を裏付ける証拠を引き続き探している」とローバック氏は述べています。
過去のパターンを改めて振り返ると、政敵を法的に罰するというトランプ氏の要求と、法を遵守するという、これら二つのバランスを取ることは、極度に困難であると思われます。2017年1月に就任した第1期の政権で、トランプ大統領の最初の司法長官であったジェフ・セッションズ氏は、2016年大統領選挙へのロシアの介入に関する連邦捜査の指揮・監督から自らを退くと決定したため、トランプ氏は怒り、数ヶ月間継続的に公然たる批判を繰り返していました。トランプ氏から辞任を迫られたセッションズ氏は、大統領の求めに応じて2018年11月7日に辞任しました。セッションズ氏と大統領の対立は、前者が単に司法省の規定に従ったことに対し、トランプ氏は、特別検察官による捜査を打ち切ることを求めていた為です。第一期政権の後半に司法長官となったウイリアム・バァー氏は、2020年の選挙が大規模な不正により、敗北したとのトランプ氏の主張に対して、調査を行い、その調査結果を発表し、そのような事実はなかったと公表した為、辞職に追い込まれました。両氏の例は、規定や法を遵守する場合、大統領との調和を図ることが如何に困難であるかを示唆しています。
二期目の最初の長官であったパム・ボンディ氏は同様の理由によるジレンマに直面していたと見られていました。法を遵守しながら、「大統領の欲望を満たすことで適度なバランスを保つ」ことは最も困難であったと思われます。この二つは、非常に対極的である場合が多いからです。パム・ボンディ氏は、トランプ氏が法的に罰したいと望んでいる人物に対する捜査において、十分な証拠なくして、政敵のリストに挙がった多くの人々を訴追することができなかったため、解雇されたと見られています。しかし、二期目の二人目の司法長官となったばかりのトッド・ブランシュ氏は、前長官パム・ボンディ氏より、遥かに大統領の忠誠者になる可能性があることを示唆しています。すなわち、司法省の独立性は益々失われ、トランプ氏が政敵とみなす個人に対する調査の頻度はもっと高くなる可能性があるということです。しかし、11月に民主党が両院で多数派となった場合、事情は大きく変わる可能性もあります。