AIデータ・センターの拡大は選挙での論争に発展

Google Data Center Photo credit : NBC News

急速に台頭している人工知能は全米で政治的な問題となっており、データ・センターの建設については、有権者も含む超党派の懸念となっています。そして、40以上の州では、センターの拡大に反対する動きが高まっています。

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AIシステムに関連するニュース・コンテンツの著作権を侵害されたとして、OpenAIとマイクロソフトを提訴しているニューヨーク・タイムスが10日に報告したところによると、現在「全米で有権者の間に動揺が拡大している」ようです。有権者らは、AI「技術が成功すれば、職を追われるのではないか、あるいは業界が失速すれば老後の蓄えを失うのではないかという懸念が高まっている」ためです。そして、全米各地で、データ・センター建設の中止を求める抗議活動が相次いでいます。「有権者がこの技術や、それを支えるデータ・センターに対して不安を募らせる中でも、大統領と一般市民との間の政治的な溝が最も鮮明に表れているのが、データ・センターをめぐる激しい議論である」と言います。

超党派による疑念や政治的な反発が高まる理由

個人および企業は、AIによる広範な自動化が米国経済全体に深刻な悪影響を及ぼしかねないと指摘しています。政治家や業界関係者らは、「大量の雇用が失われる」ことやAIの危険性についての懸念が高まっており、広報を通したAIのイメージは悪いと言います。全米州議会会議が7月に集計を更新したところによると、過去1年間で15州の議員は、データ・センターを標的とした規制措置を検討しました。先週、ケンタッキー州の民主党知事アンディ・ベシア氏は、データ・センターに起因する電気料金の値上げから住民を保護するための新たな指令に署名しました。テキサス州共和党知事グレッグ・アボット氏も、新規プロジェクトに対してエネルギー監査の実施を義務付けました。

保守派団体がデータ・センターの反対運動を主導

最も声を上げている団体の一つはヒューマンズ・ファーストです。同団体を率いるエイミー・クレーマー氏は、以前強固な保守派のティーパーティー組織のリーダーを務め、2020年の大統領選後に、フェイスブック上で「選挙の盗みやめろ」集会の組織化を主導した人物です。クレーマー氏は、自身も毎日AIを利用しており、AIそのものに全面的に反対しているわけではないと述べました。しかし、あらゆるレベルの政策立案者が、国民の懸念に配慮した形でこの技術の将来像を描くことに失敗していると指摘しています。クレーマー氏は、「人々は非常に強い不満を抱いています。彼らは(政治との)乖離を感じており、自分たちの代弁者が誰もいないと感じているのです」と語りました。彼女が率いる同団体は先月、全米42州でデータ・センターに反対する抗議活動を組織しました。彼女は、国内の巨大テクノロジー企業が「金を使って」トランプ氏の側近グループに入り込み、この問題に対する同氏のアプローチの一部を形成してしまったのではないかと懸念しています。彼女は 「彼の周囲の人々は、こうした反発が起きていることを間違いなく認識しているはずです」と述べ、大統領が人々の気持ちを理解するよう求めました。タイムスによると、特筆すべき事は、ミシガン州で先月開かれたトランプ氏の集会で、その運動を組織したのは、普段トランプ氏の政策を支持している保守派の人々だったという点です。保守系シンクタンクのアメリカン・エンタープライズ研究所で経済政策研究の責任者を務めるマイケル・ストレイン氏は、政権の姿勢について、「彼らはこの技術に対して強気な姿勢をとっているようだ」と語りました。ストレイン氏は、AIの育成を目指すという大統領の「基本的な方針」に概ね同意しており、同氏は、この技術が経済や国家安全保障に利益をもたらすと考えているものの、その一方で、ホワイトハウスは起こりうるマイナス面への備えにはあまり関心がないと認め、「それは経済にとって潜在的な脆弱性となり得るものです。今後の展開を注視し、追跡していく価値がある問題です」と指摘しました。

データ・センターの拡大は選挙での論争に発展

データ・センターの拡大は、全米各地の選挙において争点の一つとなっています。 多くの都市や州が、こうした施設の経済的価値に疑問を抱き始めています。建設完了後には長期的な雇用があまり生まれない可能性があるだけでなく、電力や水などの資源を大量に消費するなどの懸念から、一部の政策立案者はデータ・センターの建設停止に踏み切っています。例えば、ニューヨーク州民主党のキャシイ・ホーコォー知事は、7月、州全体として建設を一時停止する措置を導入しました。 これに対し、トランプ氏はソーシャル・メディア上で激しく反発し、方針の撤回を求めました。大統領は、こうした施設は「液体状の金」に匹敵するほどの税収と雇用を生み出すと述べ、データ・センターの設置に成功した州や地域にとっては「極めて大きな利益」をもたらすと述べました。

AIの急速な発展に肯定的な企業

AIが労働者の生産性を大幅に向上させ、その結果として得られる利益が世界経済の成長に大きく寄与し得るという見解もあります。JPモルガンは、「ハイパースケーラー」と呼ばれる大手テクノロジー企業は、そうしたビジョンとそれに伴う莫大な富を追求し、今後数年間でAIインフラに最大5兆ドルを投じる可能性があります。そうなれば、OpenAIやAnthropicといった企業には、現在より遥かに大きな収益を上げることが必然的に求められる可能性があると言います。

初期段階の影響を測定する専門家や学者の取り組み

多くの専門家の間では、こうした進化が何らかの摩擦なく進むとは考えにくいという強い懐疑的な見方も存在します。 スタンフォード・デジタル・エコノミー・ラボでは、テクノロジー分野の第一人者として広く知られる経済学者エリック・ブリニョルフソン氏らが、こうした初期段階の影響を測定する取り組みを開始しました。同シンクタンクが7月に発表した最新の報告書では、AIインフラへの支出が大幅に増加していることが示されたものの、現時点では、労働力や産業全体に及ぶような大規模な変革を示す「決定的な証拠」は確認されていないようです。ブリニョルフソン氏は、AIの能力は今後急速に向上し、それが「経済に甚大な影響を及ぼすだろう。良い面もあれば、現実的なリスクを伴う可能性もある」と述べています。まさにそうした懸念から、同氏は今年初め、約200人の経済学者やAI専門家による共同声明の取りまとめに尽力しました。この声明は政府に対し、「人間を補完し、社会に利益をもたらす方向へAIを導くために必要な動機や安全策および制度を構築する」よう求めています。

AI台頭に対するトランプ氏の方針とホワイトハウス専門家の動き

トランプ政権が「最も強気な姿勢」を見せているのがデータ・センターの問題です。「大統領は、到来しつつあるデジタル革命について、「極めて楽観的な見方」を維持し、懸念の兆候は見られないと言います。トランプ大統領は「AIは医学研究から軍事行動に至るあらゆる分野を飛躍的に強化する」という見解をさらに強めています。全米で反対の動きが拡大しているにもかかわらず、トランプ氏はデータ・センターを「金のなる木」と呼び、擁護し続けています。同氏は3月のイベントで、データ・センターに対する世間のイメージに触れ、「彼らには広報活動の助けが必要である。なぜなら、人々はデータ・センターができると電気代が上がると考えているからだ。だが、実際にはそんなことは起きていないし、今後も起きることはない」と述べました。また、トランプ氏は、データ・センター拡大に反対する動きを批判する姿勢を見せています。8月7日に公開されたパンチボウル・ニュースとのインタビューで、テキサス州の対応を名指しで、「間違っている」と述べ、データ・センターが「石油産業よりも大きなものになる可能性がある」と述べました。データ・センターを全面的に支持する姿勢が見られるトランプ氏は、国内の巨大テクノロジー企業に対して、長年懐疑的な目を向けてきた保守派の仲間たちと、対立する立場に置かれる状況が増加している」とタイムスは伝えています。一方、 ホワイトハウスの専門家は、一部のリスクを認識し、セキュリティ上の脆弱性を生じさせないよう特定のAIモデルを監視する待望の計画を先週策定しました。Google、Microsoft、OpenAIなどの企業と連携して策定されたこの計画は、この新技術に対してこれまでとってきた「不干渉」の姿勢からの転換を示すものでした。それ以外の点では、ホワイトハウスは主にAIの「応援団」としての立場を維持しているようです。

最後に、人工知能(AI)の開発とそれに伴うデータ・センターの拡大に反対する動きは超党派の風潮として、全米40州以上で抗議活動が行なわれ、その活動を先導する団体は、強固な保守派の間で目立っているようです。人々の懸念は、失業を含む経済的問題、人々の生活にとって最も重要な水が益々不足する可能性と騒音による健康上の懸念、および環境的側面から現実的なものであるとも思われます。データ・センターの建設が全米で拡大すればするほど電気と水の消費は大規模なものとなり、これらの経費が大幅に上がることを懸念するのは自然な感情であると思われます。また、窓のない建物の外観は自然の景色を損なうとの懸念をもたらしています。しかし、AIは、データの高速処理に加えて、24時間年中無休の稼働が可能になるなど、多くの利点がある一方で、雇用の喪失、プライバシー侵害のリスクなど、重大なマイナス側面もあるとされています。従って、AIの開発において、メリットとデメリットの両方の側面を見ない一方的な判断に陥ることなく、人類を保護するという側面が最も強調されるべきであると思います。技術的にも非常に危険な問題が浮上しています。10日にワシントン・ポストはOpenAIやAnthropicの高度なAIモデルが安全上の制限を回避し、外部システムに侵入したという事態について、詳細に伝えています。これは、米国上院議員らがAI開発を停止するよう求める事態になっています。

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