史上最悪の愚かな貿易戦争?

マーク・カーニー首相 Photo credit : Reuters

カナダに50%の関税を課したことで、WSJは昨年、「史上最悪の愚かな貿易戦争」であると指摘しました。先週、WS Jはその主張を回想させました。同ジャーナルのコメントは4日間が経過した今日も反響が続いています。なぜなら、トランプ政権は先週カナダに50%の関税をかけると脅した為です。米国とカナダの貿易交渉が再開する可能性があるかどうかはまだ不明な中で、50%の関税をカナダにかけることが、どれほど両国に影響を与えるかを考えると、WSJは非常に率直な表現で反発したと思われます。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WS J)は8月23日、トランプ大統領のカナダに対する50%の関税について、次のようなコメントを投稿しました。

トランプ大統領は昨年、カナダとメキシコに対する同氏の関税措置を「史上最も愚かな貿易戦争」と評したことに対し、不快感を示しました。しかし、中間選挙まであとわずか10週間というこの週末、同氏がカナダからの輸入品に対して新たな国境税を課すことで事態をさらにエスカレートさせたため、その「愚かさ」は一層際立つこととなりました。 トランプ大統領は先月、1930年関税法第338条に基づき、カナダに対する新たな関税措置を講じる意向を表明しました。同法は、外国との関係において「米国の通商を直接的または間接的に」差別する国に対し、大統領が最大50%の関税を課すことを認めるものです。これまでにこの権限を行使した大統領は存在しません」と伝えました。

カナダには広大な森林が各地に存在します。米国の建築材料はカナダから来ています。カナダから米国に輸出された木材に50%の関税または税金がかる場合、住宅建設に利用されている木材も更に50%高くなるため住宅価格は更に高くなり、有権者が求めているアフォーダビィリティ(適度な価格)は益々実現不可能となるでしょう。米国がカナダから輸入する品目の中で最大の割合を占めているのは、精製燃料、原油および天然ガスなどのエネルギー製品です。その他、電気部品、機械装置、製造用資材、木材、紙製品、生鮮農産物、穀物、食料品などがあります。一部の経済学者は、報復関税の応酬が拡大すれば、北米の消費者の負担が増加し、サプライチェーンに混乱が生じると警告しています。

先週、二国間の最初の交渉は決裂しましたので、カナダのマーク・カーニー首相は、関税を戦争に例えて批判した後、更に、二国間のまともな交渉はあり得ないと思える状況に陥りました。8月22日、カーニー氏は土曜日、怒りの感情がこもった口調の演説で、カナダはトランプ政権による通商上の措置によって「攻撃」を受けており、両国は今や「戦争状態」にあると述べました。先週交渉が決裂した主な理由は、カナダの公式言語が英語の他にフランス語もあり、映画やテレビ番組にはフランス語がしばしば利用されており、二つの言語を平等に使用することが法律で義務づけられているにもかかわらず、米国側が、交渉でそのような法律を廃止するよう強く求める動きを示した為です。しかし、米国側はここ数日、その交渉の条件を引き下げた為、両国間の緊張は幾分落ちついたようです。米通商代表者のジェイミソン・グリア氏は26日、CBCに対し「トランプ大統領、私自身、そして米国政府は、カナダにおけるフランス語の重要性と、それが極めて繊細な問題であることを認識しています」と述べました。つまり、米国はカナダがフランス語も公式言語として定めていることが、貿易交渉の合意の成否を左右するような決定的な問題ではないことを改めて明確にしました。しかし、次回の交渉のスケジュールはまだ設置されていません。

ご承知のように、米国最高裁は2026年2月20日、1977年国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき世界規模の相互主義的な関税を課す権限はトランプ大統領にはないとする判決を、6対3の多数意見で下しました。主席判事ジョン・ローバツ氏はその判定で多数派意見を代表しました。トランプ氏はソーシャル・メディアを通して、最高裁を攻撃しました。関税から収益損害を被った企業は返却するよう要請していますが、政権側は、その手続きを行うには数年かかると主張しました。最高裁の判定直後、トランンプ政権は1930年関税法第338条及び1974年通商法第301条を行使し、強制労働への対応や不公正な貿易慣行を理由に再度関税を課すと発表しました。2月24日、米国下院議会で行われた一般教書演説に他3人の判事らと共に参加したロバーツ判事とエイミー・コニー・バレット判事は、この日不機嫌なトランプ氏と対面しました。

トランプ氏は、強制労働を理由に世界の多数の国々に関税を課すと発表しました。これに対し、25州の民主党司法長官および知事からなる団体は、欧州連合(EU)および約60カ国を対象としたトランプ政権による新たな二桁の関税措置を不服とし、関税措置の差し止めを求めて提訴しました。彼らは、関税を課す権限は大統領にはないとの最高裁の判決を回避する為であると主張しています。これらの原告側は「強制労働」への懸念を口実として利用し、適切な証拠や議会の承認を欠いており、気まぐれで恣意的なもので、行政権の範囲を逸脱していると主張しています。更に、最初の関税で各州が支払った関税の払い戻しを求めています。ホワイトハウス側は、大統領が行使するにあたり通商法301条に基づく措置は合法的であると主張していますが、課税する国の「強制労働」の確定的な証拠を提供していないとされています。8月に米国際貿易裁判所に提訴された訴訟は現在進行中であり、口頭弁論は9月末に予定されています。これはWSJが再度指摘したように、世界的に影響がある「最悪の愚かな貿易戦争」について、世界の人々が注目する事になると思われます。

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