
2022年3月29日挨拶中のエルドアン大統領
イスタンブールで29日に開催されたウクライナとロシアの交渉にはトルコの大統領レジェップ・タイップ・エルドアンが仲介役を務め、2月24日にウクライナでロシアの侵攻が始まって以来、初めて進歩の兆候が見られたと報告されている。英国は、ロシア軍がキエフ近辺の攻撃を止め、東部に集中する可能性が高いと述べ、専門家は29日の交渉は、単なる戦略的なものを超えた何かがあると述べた。ロシア・ウクライナ交渉は肯定的な進歩が強調されている中で、米国だけは懐疑的である。その理由の一部を分析する為、現在の戦闘追跡マップを観察してみると気づくことがある。
ニューヨーク・タイムスの29日のライブによると、交渉が開催された場所は、ボスポラス海峡のほとりにある19世紀のオスマン帝国の宮殿であり、内部に置かれた白いテーブル・クロスの長いテーブルの左右に両国の代表者がそれぞれ着席し会談したようである。エルドアン大統領は、スピーチの最初に英語で「おはよう」と挨拶した。ウクライナ当局は、3時間の交渉後に、自国が恒久的に中立であると宣言し、ロシアの主要な要求であるNATOに加盟する可能性を放棄し、他のグループからの「安全保障」と引き換えに、ロシアの領土主張について話し合う準備ができていると述べた。ウクライナ大統領ヴォロディミール・ゼレンスキーの補佐官はロシア代表団を「建設的」と呼び、ロシアはキエフ周辺の軍事活動を「劇的に」縮小して「相互信頼を高める」と述べた。ゼレンスキー大統領は毎晩の演説で29日、ロシアとの交渉は「前向き」だったが「これらの合図はロシアの砲弾の爆発を沈下させない」と述べた。
進歩の兆候は幾つかあるようである。例えば、ロシア国防副大臣はロシアがキエフとチェルニーヒウ周辺の攻撃を大幅に削減させることを示唆した。また、 ロシアは、和平合意案の準備が整った場合、ウラジーミル・プーチンとゼレンスキーの二人の大統領との直接会談が行われるための準備を行なっていると述べた。つまり、プーチンは、和平協定案が整ったため、ゼレンスキーに会う準備ができているとウクライナ当局に伝えた。また、エルドアンは両側との良好な関係を維持しながら、主要な政府のイベントを開催する時に利用される宮殿を利用したことは「交渉がより深刻」であることを反映している。
英国の国防省は、同じく29日の最新情報で、ロシアがウクライナ東部のドネツクとルハンシク(ドンバス地域)に戦闘力を再集中させる可能性は「非常に高い」と述べた。 同省は「ロシアの攻勢がキエフを包囲するという目的に失敗したことはほぼ確実です」と述べた。 進歩があると報告されている中で、米国の国防総省は29日、キエフ近郊の陣地から撤退したロシア軍はごくわずかであり、モスクワはウクライナで新たな攻撃を開始する前に軍隊を「再配置」しているだけかもしれないと警告した。 国防総省の報道官ジョン・カービーは、記者会見で、米国とその欧州の同盟国は、クレムリンからの攻撃を減らしているという最近の主張を受け入れて、自分たちを「騙してはならない」と非常に鈍い言葉で述べた。
しかし、外交官やアナリストによると、29日のトルコでのロシアとウクライナの交渉は、ロシアが戦争の過程についてより現実的であることを示したが、戦争を終わらせるために急いでいる様子はなかったという。ロシアの副国防相アレクサンドル・フォミンは「将来の交渉に対する相互信頼を高める」ためのジェスチャーとして、首都キエフと北部の都市チェルニーヒウ周辺の軍事活動を「大幅に削減」すると述べた。しかし、これらの地域でのロシアの活動はすでに停滞しており、キエフ周辺のロシア軍はウクライナの反撃に直面して防御的な立場をとっていた。キングス・カレッジ・ロンドンの戦争学の名誉教授であるローレンス・フリードマンは「エスカレーション解除は退却の婉曲表現です。戦争は非常に経験的なものであるため、ロシアはその目標を現実に合わせて調整しています。彼らがドンバスに集中していると言っても過言ではありません。実際にはそれが彼らにできることの全てだからです。」と述べた。

By BBC
ロシアは首都キエフと北部の攻撃では、ウクライナ軍が激しく抵抗しているため、行き詰まっている可能性があり、数日前にロシアの将軍が南東部に移動すると公表したような状況があることを示唆している。そのような戦闘状況は複数のメディアが追跡しており、BBCが公開した28日午後9時の時点での戦闘追跡マップによると、① グリーンの円形印のある地域は、ウクライナが反撃を展開しているため、ロシアが占領することは不可能になっている。それらは首都のキエフ(Kyiv)とマカリブ(Makariv)の付近、ハリコフ(Kharkiv)の近辺、ムィコライフ(Mykolaiv)とヘルソン( Kherson)の中間地域である。また、② 茶系ピンク地域のチェルニーヒウ(Chernihiv)、マリウポリ(Mariupol)、及びロシアが独立国であると主張しているドンバス地域のルハンシク(Luhansk)およびドネツク(Donetsk)は、ロシア軍にコントロールされている。③ 茶系ピンク斜線の地域はロシア軍が前進している地域である。
要するに、ウクライナでのロシア侵略は29日で、34日目を迎えるが、この戦略マップは最新の動向を示しており、それは ⑴ ウクライナ軍はキエフの北西にある重要な地域を取り戻している。⑵ ロシア軍はチェルニーヒウ、スミー、またはハリコフの周りを進んでおり、マリウポリの港湾都市はロシアが占領する可能性がある。⑶ ウクライナ人はまだヘルソン周辺のロシアの前進を阻止している。⑷ 一部のロシア軍はドンバス地域(ドネツクとルハンシク)の 東部に再配置した。これらの状況は、25日に報告されたように、ロシアの将軍がドンバス地域に集中すると述べたことに一部一貫性がある。これは何を意味しているだろうか?これらのマップは、ロシアが2014年にクリミア(Crimea)を略奪した為、その近辺を始点として、ロシアの国境に隣接する地域から侵食しようとしている状況があることを示唆している。これは、ウクライナがロシアに属していると主張したプーチンのロシア軍が断続的且つ長期的に侵略する可能性があり、それは主張と戦略に一貫性があることを示唆している。従って、進歩的であると言われている29日の交渉に米国が懐疑的であっても不思議ではない。ロシアは、クリミア侵略から8年後の2022年2月に再度、侵略を開始したことを考慮すると、三度目が起きないという保証があるだろうか? 実際にプーチンがゼレンスキーと直接対話し、和平交渉が成立するまで不明である。29日にロシアはキエフ周辺での攻撃を減少させると述べているだけで、止めるとは公表していない為、ウクライナのいずれかの都市で、爆撃は削減されたパターンでまだ続く可能性があることも示唆している。